研究課題/領域番号 |
24590813
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
黒崎 直子 千葉工業大学, 工学部, 教授 (60337706)
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研究分担者 |
黒崎 久仁彦 東邦大学, 医学部, 教授 (60240701)
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キーワード | 国際保健学 |
研究概要 |
1964年にバーキットリンパ腫の患者から発見されたEpstein-Barr virus(EBV)は,バーキットリンパ腫だけでなく伝染性単核症や上咽頭がんの原因ウイルスでもある。バーキットリンパ腫は赤道遅滞に地理的に限局しているが,伝染性単核症は西欧諸国多くみられ,本邦でも最近多くなっている。そこで本研究ではメキシコ先住民族のDNAからEBVの遺伝子を検出することを目的とした。EBVの遺伝子を検出するために,GENBANK:V01555.2より,109462-109674領域の遺伝子についてデジタルPCRを用いて増幅した。メキシコ先住民族の DNA サンプルのうち, 121 サンプルについて検討したところ,4 サンプルにおいてEBV遺伝子の存在が確認されたが,ほとんどのサンプルからEBVが検出されなかったことから,今後,検出遺伝子領域の再検討が必要であると思われる。 また,本研究ではさらに同じメキシコ先住民族由来のサンプルについて,ゲノムDNAのSTR(マイクロサテライト)領域における多型性分析により,民族内および民族間の遺伝的系統関係について検討している。具体的には,本年度購入したアプライドバイオシステム社のAmpFLSTR Identifiler Kit(#4322288) を用いて,DNA Sequencer およびFlagment Analyzer 装置によりSTR 15座位の分析を行った。その結果,全121サンプルのうち,55サンプルで13座位以上の型判定が可能であった。一方,この分析結果においては,現代人のDNAをテンプレートとして用いているにもかかわらず,特定の民族で型判定不能となる座位が複数存在した。これについては,これまでに報告されていない特異な結果であることから,型判定不能座位においてSTR配列の周辺に民族特有の変異が存在している可能性があり,現在この原因について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
血液由来のDNAサンプルよりEBVの遺伝子を検出するためにGENBANK:V01555.2より,109462-109674領域の遺伝子についてデジタルPCRを用いて増幅した。121 サンプルについて検討したところ,4 サンプルにおいてEBV遺伝子の存在が確認された。 並行研究であるSTR多型によるメキシコ先住民族の遺伝的系統関係の解析については,現在詳細な分析を進めているが,基礎データの抽出はすでに終了しており,特に検討した3民族は比較的近接した地域に居住する集団であるにもかかわらず,それらのアリル出現頻度に大きな違いがあるという興味深い知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
血液由来のDNAサンプルよりEBVの遺伝子を検出するためにGENBANK:V01555.2より,109462-109674領域の遺伝子についてデジタルPCRを用いて増幅した。121 サンプルについて検討したところ,4 サンプルにおいてEBV遺伝子の存在が確認された。 並行研究であるSTR多型によるメキシコ先住民族の遺伝的系統関係の解析については,現在詳細な分析を進めているが,基礎データの抽出はすでに終了しており,特に検討した3民族は比較的近接した地域に居住する集団であるにもかかわらず,それらのアリル出現頻度に大きな違いがあるという興味深い知見が得られている。
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次年度の研究費の使用計画 |
ウイルス遺伝子検出について新手法(デジタルPCR)の導入により使用する試薬が一部変更したため,消耗品費に変更が生じた。 本研究成果を学会または学術誌へ投稿する際に必要な経費(英文校正・印刷費等)として使用する計画である。
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