研究実績の概要 |
眼科医は他の科に比べ女性医師の割合が多く、出産・育児などのイベントにより休職・離職することが多い。そこで、年齢と専門医資格を考慮した眼科医の労働力分布を調査する必要がある。 平成23年度日本眼科学会会員名簿には14,341名の学会員がおり、そのうち医師資格を持たない201名を除いた14,140名を眼科医と定義した。これらのうち勤務先が不明な726名、厚生労働省医師等資格検索システムで医籍登録年を確認できなかった1,085名を勤務実態のない眼科医(勤務先が不明かつ、医籍登録年不明者が196名)とした。勤務実態のない医師は女性医師で18.0%(1,023名/5713名)、男性医師で7.0%(592/8,427)と女性医師の方が約2.55(95%信頼区間:2.32-2.80)倍休職・離職率が高い結果となった。 眼科医の労働力の分布を知るため、市区町村当たりの眼科医数を計算した。眼科医が少なくとも1名以上いる市区町村は1,159であった。一般に、労働力は年齢にも影響されるため、医籍登録年を25歳と仮定し、眼科医としての労働係数(α)を25歳0.1、26歳0.3、27歳0.5、28歳0.7、29歳0.9、30~60歳1.0、61~65歳0.8、66~70歳0.7、71~75歳0.6、76~80歳0.4、81~85歳0.2、86歳以上0.1とした。また、専門医資格の有無もパフォーマンスへ影響すると考え、専門医資格による係数(β)を専門医1、非専門医0.8とした。これらの係数をもとに①単純な医師の分布②年齢を考慮した分布(1名当たりの労働力:α)、③専門医資格・年齢を考慮した分布(1名当たりの労働力:α×β)の分布をGini係数を用いて計算した。年齢や専門医資格の有無を無視した眼科医の単純分布は0.413、年齢を考慮した分布、年齢・性別を考慮した分布は0.407となった。
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