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2013 年度 実施状況報告書

在宅死・医療サービス受療率についての多施設共同・在宅高齢者コホート研究

研究課題

研究課題/領域番号 24590819
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

松島 雅人  東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50246443)

キーワード在宅医療 / コホート研究 / 在宅死 / 複雑性
研究概要

人口構成の急激な高齢化によって、在宅医療の重要性が増している。また在宅医療の中でも高齢化の進行に伴い在宅死の増加は不可避であり、特に重要な関心事となっている。しかしこの在宅死の現状や予測因子を前向きに検討したデータは私たちの知る限り存在しない。そこで本研究では、多施設共同の在宅高齢者コホートを構築し追跡調査を行うことによって、特に在宅死や緊急対応等の医療サービス受療についての頻度やそれに関わる因子を明らかにすることを目的とした。
平成25年2月から在宅高齢者患者の新規登録を開始した。現時点での共同施設としては13か所あり、登録は施設の準備状況が整い次第順次開始している。平成26年3月の時点での登録総数は192名である。男性90名、女性102名とやや女性が多い。登録時の平均年齢(±標準偏差)は83.5±8.2歳(range 65 -102歳)であり、さらに75歳以上が87.0%と9割近くを占めている。担癌患者は48例と全体の25.0%、糖尿病の既往は44例(22.9 %)であった。社会的な測定項目としては、生活保護受給者は33名(17.2%)、専従する主介護者が存在するのは126例(65.6%)となっている。
本研究の主要エンドポイントは在宅死、副次エンドポイントは死亡、医療サービス受療としての臨時往診、在宅療養期間、緊急入院、入院であるが、今回は在宅死と死亡について集計した。登録開始後に既に死亡した患者は39例で、主要エンドポイントである在宅にて亡くなったのは18例と総死亡数の46.2%を占めている。
今後引き続き、新規登録ならびに追跡を継続して行き、複雑性、ADL、栄養状態、認知機能、抑うつ状態等とエンドポイントとの関連を検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では、平成24年10月をめどに新規に在宅管理が開始された高齢者の登録を開始する予定であったが、倫理委員会との間で研究プロトコールの小変更や、それに対応するための期間が必要となったため、実際に患者登録が開始されたのが平成25年2月となった。
平成26年3月の段階では200弱の登録者数となっているが、研究参加から登録システムへの入力までかなりのタイムラグが想定されているため実際の参加者はそれよりも多いと考えている。また登録開始はすべての参加施設が同時に始められていないため登録開始1年目は少なめになっているであろうこと、また参加施設が当初より増加していることを考えると今後、登録者数は増加していくことが予想される。

今後の研究の推進方策

計画段階では必要対象者数を1068例と推定していた。研究計画調書では方法(概要)の項で登録期間を2年、必要サンプル数概算の項では登録期間3年として推定していたため、修正をする必要が生じた。現在までの登録者数も考慮し、登録期間は3年間(平成25年2月1日~平成28年1月31日)とし、エンドポイント数を確保するため追跡期間は当初の最長3年間から4年間、平成29年1月31日まで追跡する予定に変更した。また11施設を対象としたが4施設が参加を中止した(よみせ通り診療所、梶原診療所、川崎セツルメント診療所、鹿浜診療所)。しかし新たに6施設(荒川生協診療所、根津診療所、むさし小金井診療所、大井協同診療所、汐入診療所、在宅療養支援病院として王子生協病院)が増え13施設となっている。少なめに見積もり2名/月/施設の登録と仮定すると、今後の2年間で624名が登録されることになる。登録開始1年目は途中から新規登録が始まった施設があること、研究参加から登録システムへの入力までかなりのタイムラグが想定されることより今後は登録数の増加が見込める。また研究計画調書では追跡3年間(最長)の死亡率を50%と仮定し必要対象者数を概算したが、計画変更後は最長4年間となるため死亡率が上昇する可能性がある。さらに約1年間の登録で在宅死割合が46.2%と申請時に見積もった30%より多いことからも必要対象者数は減少することが考えられる。しかしこれらはあくまで概算であり、仮定した死亡率の誤差や在宅死割合が変動することもあり得るため、引き続き約1000例を目標にするべきと考えている。
またいくつかの評価項目を追加あるいは修正した。例えば登録時等に栄養状態をMini Nutritional Assessmentを用いて測定することとした。抑うつ状態は自記式の評価表は困難と考え、他覚的な評価のみとした。
今後も昨年度に引き続き、順次、新規患者を登録するとともに登録された患者の追跡を行う。

次年度の研究費の使用計画

購入が必要な質問紙は,研究参加者の増加に応じて順次購入をしているが,一部の質問紙の納品が3月末になり,年度を越えての支払いとなったため.
上記については,購入した質問紙の支払いを平成26年4月以降に行う.
患者登録およびその追跡をするにあたって各参加協力施設において各登録患者へファイルを作成し各質問紙を用意するための物品費,および進捗状況、研究遂行時に生じた問題点に対応するために複数回のミーティングを予定しており、そのための会議費・交通費が必要である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 研究プロトコール:EMPOWER-Japan Study (Elderly Mortality Patients Observed Within the Existing Residence)

    • 著者名/発表者名
      渡邉隆将,松島 雅人、藤沼 康樹、阿部 佳子、稲田 美紀、菅野 哲也、、喜瀬 守人、今藤 誠俊、高橋 慶、西村 真紀、平山 陽子、村山 慎一、安来 志保、青木 拓也、、富永 智一、永田 拓也
    • 学会等名
      第4回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
    • 発表場所
      仙台国際センター

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公開日: 2015-05-28  

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