研究課題/領域番号 |
24590819
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
松島 雅人 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (50246443)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 在宅医療 / コホート研究 / 在宅死 / 複雑性 |
研究実績の概要 |
人口構成の急激な高齢化によって、在宅医療の重要性が増している。また在宅医療の中でも高齢化の進行に伴い在宅死の増加は不可避であり、特に重要な関心事となっている。しかしこの在宅死の現状や予測因子を前向きに検討したデータは私たちの知る限り存在しない。そこで本研究では、多施設共同の在宅高齢者コホートを構築し追跡調査を行うことによって、特に在宅死や緊急対応等の医療サービス受療についての頻度やそれに関わる因子を明らかにすることを目的とした。 平成25年2月から在宅高齢者患者の新規登録を開始した。現時点での共同施設としては13か所である。各参加施設にデータ入力を促し、平成26年5月31日の時点においてのデータをクリーニングした上で、中間集計を行った。その時点で365名の対象者が各施設で登録されている。そのうちデータ入力済みの350名に関しては女性52.0%(182名)、年齢82.9±8.3歳、担癌状態23.3%(82名)、生活保護世帯17.3%(61名)であった。この時点での死亡数は89名、0.53人/人年の死亡が確認された。死亡場所としては病院45名、在宅40名、施設4名であった。また臨時往診は227件、即ち1.60件/人年(入院期間を除いた総観察期間で算出)であり、同様に入院は137回、0.96回/人年であった。 その後も登録を継続しており、平成27年3月の時点での登録総数は538名となっている。今後引き続き、新規登録ならびに追跡を継続して行き、複雑性、ADL、栄養状態、認知機能、抑うつ状態等とエンドポイントとの関連を検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、平成24年10月をめどに新規に在宅管理が開始された高齢者の登録を開始する予定であったが、倫理委員会との間で研究プロトコールの小変更や、それに対応するための期間が必要となったため、実際に患者登録が開始されたのが平成25年2月となった。 平成26年3月の段階では200弱の登録者数となっているが、平成27年3月には538名と登録の増加を認めた。また多施設共同研究のためもあり、研究参加者が実際に研究に参加し観察が開始された時点から登録システムに入力されるまでかなりのタイムラグが想定されているため実際の参加者はそれよりも多いと考えられる。区分は、やや遅れている、としたが、平成28年1月31日までの登録期間までには、当初、必要対象者数として考えていた1068例に近づけると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
多施設共同の前向きコホート研究であるために、各参加施設のモチベーションを維持することが非常に重要であると考えている。そのためSNSを通じての広報やデータ入力についての質問に答える等をひきつづき行っていく予定である。平成26年8月には参加施設の担当者を集め、5月までのデータを集計した中間結果報告を行い、ひきつづきの協力を要請した。次年度も同様に参加施設の担当者に対して中間結果報告会の開催を予定している。 今後も参加施設との緊密な連係を維持し研究を遂行していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
データ収集用の物品費(ファイル等)として、予定していた金額と若干の差が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度も本年度と同様に、データ収集用の物品費(ファイル等)として使用する予定である。
|