研究課題
本研究は、平成24年度に健康調査を行うことで得られるデータと、23年度に実施済みの健康調査のデータとを用いて断面調査のデザインで分析を行う疫学的研究として計画された。しかし、24年度に得た大うつ病性障害の者が9人にとどまったため、大うつ病性障害のサンプル数を増やすために25年度、そして26年度に追加調査を行った。26年度の調査では、研究分担者の吉田が実施する疫学調査に併せて、後期高齢者491人のうち認知機能の保たれた377人を対象にうつ尺度を用いてスクリーニングを行い、その陽性者81名と陰性者296人のうちの217人とに後日行う専門医による面接への受診を依頼した。専門医面接の参加者は153人で、Structured Clinical Interview for DSM-Ⅳによる診断で未治療のうつ病15人(大うつ病性障害6人と小うつ病性障害9人)と対照群となる70人とを同定することができた。また吉田により血液が凍結保管された。分担研究者の森信は24年度に把握した健常対照者32人の血液についてBDNFプロモーターのDNAメチル化障害の分析を行った。その結果と平成25年度に森信が分析済みの23年度に把握された大うつ病性障害の高齢者のメチル化障害のデータとをあわせ、井原が統計学的な分析を行った。その結果CpG_2、CpG_28、CpG_32、CpG_3334、CpG_5051、CpG_63、CpG_71、CpG_7273、CpG_7475、CpG_77、CpG_8081で大うつ病の者でメチル化率が有意に高く、このうちCpG_32、CpG_3334、CpG_71では10%以上の差が認められた。特にCpG_32は30%以上の差が認められたが、これは成人サンプルで大うつ病と健常群との比較で森信らが得た結果に符合するものであった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry
巻: 56 ページ: 109-116
10.1016/j.pnpbp.2014.08.012