研究実績の概要 |
大規模な日本人青壮年者集団の男女を対象に、日本語版ピッツバーグ睡眠質問票を用いて評価した睡眠状況と高血圧発症との関連を検討した。血圧上昇の勾配を観察するため、毎年度実施される事業所検診の「繰り返し測定される血圧値」のデータから、GEE法(Generalized Estimated Equation)にて計算した。結果、最終解析対象者は6,205名(男性3,757名,女性2,448名)。2004年に実施したPSQI調査の睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、眠剤使用、日中覚醒困難、PSQI総合得点のすべての項目と男女とも高血圧の累積発症率とは相関が認められなかった。GEE法により算出した各睡眠指標のカテゴリー別の年あたりの血圧変化値と検定結果は以下のとおりであった。睡眠指標と10年間の収縮期血圧との経年変化では、男性においてPSQIの得点が高いものほど年々上昇する血圧の傾きが小さく(-1.06 P=0.02)、睡眠時間が長いものほど、収縮期血圧が高くなる傾向が認められ(-1.97 P<0.00)、睡眠困難があるものほど収縮期血圧が高くなる傾向が認められた(1.4 P=0.02)。女性では睡眠困難があるものほど収縮期血圧が高く(3.13 P<0.00)、眠剤使用するものほど収縮期血圧が高くなる傾向が認められた(8.03 P=0.04)。一方日中覚醒困難があるものほど収縮期血圧は低い傾向にあった(-3.76 P<0.00)。睡眠指標と10年間の拡張期血圧との経年変化では、男性において睡眠時間が長いものほど、拡張期血圧が高く(-1.84 P<0.00)、眠剤使用するものほど拡張期血圧が高くなる傾向が認められた(2.27 P=0.05)。女性では眠剤使用するものほど拡張期血圧が高くなる傾向が認められた(4.9 P=0.02)。
|