研究実績の概要 |
本研究では、高槻市市内9か所にある街かどデイハウスを利用する者で調査の同意を得られた576人を対象とし、平成24年度に①筋肉量(マルチ周波数体組成計MC-190)、②通常歩行速度、③握力 の測定を行い、2年後に対象者の転帰を確認した。転帰は、死亡、転居、施設入所、入院、介護認定の有無とし、これらのいずれかが該当した者を2年後の「健康寿命の終わり」とした。解析対象者は2年後の転帰まで確認できた415人(男性85人、女性330人)をとした。サルコペニアの判定はEWGSOPの診断概念に基づいて行い、筋肉量のカットオフ値は四肢筋肉量/(身長)2が男性は7.0Kg/㎡、女性は5.8Kg/㎡、歩行速度は1m/s、握力はAWGSの基準に準じ男性26Kg、女性18Kgとした。結果より男性はサルコペニアが19人(22.4%)、プレサルコペニアは23人(27.1%)正常は43人(50.6%)であり、そのうち2年後に死亡、転居、施設入所、入院、介護認定に該当した者の割合はサルコペニアで42.1%、プレサルコペニアで13.0%、正常で0%であった。女性はサルコペニアが93人(28.2%)、プレサルコペニアは95人(28.8%)正常は142人(43.0%)であり、そのうち2年後に死亡、転居、施設入所、入院、介護認定に該当した者の割合はサルコペニアで15.1%、プレサルコペニアで29.5%、正常で7.0%であった。以上のことから、サルコペニア判定を用いた分類は男女ともに有意に2年後の健康寿命の終わりと関連することが明らかとなり、サルコペニア判定の妥当性が示唆された。また、老人福祉センターを利用している地域高齢者111人を対象に行った加速度トレ―ニング機器を利用した6か月間の介入研究では、介入群の方が有意に生活機能や口腔機能の改善を認め,運動介入の重要性が示唆された。
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