2007年に、旧石綿工場の周辺住民1907人の参加を得て後向きコホート調査を実施したが、本調査では観察期間を2012年12月まで延長して死亡状況を観察した。そして推定石綿濃度に基づき、対象者を4群に分類して、肺がん死亡状況を検討した結果、石綿濃度がもっとも高い地区では、職業性石綿曝露がない肺がん死亡者は男性9人および女性4人であり、標準化死亡比(日本の一般人と比較して何倍かの指標)はそれぞれ2.40(95%信頼区間1.10-4.55)、3.27(同0.89-8.39)となり、男性では統計学的に有意であった。この結果により、周辺住民の肺がん死亡リスクが上昇していることが示唆された。
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