研究課題
本研究は、健康リスクへの対処に関わる政策、特にリスクの受容と忌避や政策選択に係るリスクコミュニケーションのあり方、特にマスメディアが政策議論に果たす機能について実態調査を行い、国際的な比較実証分析を意図する。これにはリスクコミュニケーションのあり方、リスクの合理的受容、危機コミュニケーションにおける市民の位置付けも分析である。本研究では、まず食の安全・リスクに関わる問題としてBSEと輸入食品問題への対処を、さらに大規模自然災害・原子力事故・災害を検討課題として取り上げ、日本、米国、英国、韓国をはじめとする各国の主要日刊紙における報道・社説・論説記事の抽出、分類、さらにこれらの比較分析を行う。健康有害事象の発生前、発生時また発生後の政策対応の推移を参照しつつ、上記マスメディアの果たす機能や役割を実証的に分析すると共に、リスクコミュニケーションにおけるメディア分析の戦略的利用の可能性を検討する。初年度には、健康危機事象の具体例である狂牛病(BSE)および原子力発電の安全性・事故に関する国内外の新聞報道記事の収集を完了した。次年度は、日本・米国のデータ解析を終え、健康リスクの社会的増幅・減衰を監視する手段としてのメディアの有効性、またリスク管理における国際協調の一助となる可能性を明らかにした。また、地域住民の安全・リスクに関する取り組みに関する住民意識調査を基に、セーフコミュニティー構築に向けた政策的取り組みについて、その促進・阻害要因を明らかにして学術報告を行った。第3年次においては、収集データの再解析を進め、英国ならびに韓国の事例につき、国際学会にて報告、また米国の事例について原著論文を公刊した。
3: やや遅れている
平成26年度において、海外連携研究者の Campbell教授( Bulter大学)の予定外の体調不良・ご家族の看護の必要性等に伴い、当初計画していた研究共同作業の一部に遅れが生じた。しかし、解析のためのデータ収集、解析は概ね完了している。共同で行っている論文執筆作業に若干の遅れが生じているものです。
データの再解析を完了し、海外連携研究者との議論、推敲を重ねて論文執筆を完了する。海外連携研究者とは良好に連絡が取れており、共同作業の再開・推進を実施する予定です。
平成26年度において、海外連携研究者の体調不良等により、研究結果の議論、論文執筆に遅れが生じたため、データ再解析の補助謝金、論文の英文校正、出版費用等の支出が次年度に繰り越しとなったため、当初計画の研究費支出を下回った。
研究の完遂に向けて、データ解析の補助謝金、学会参加費、論文公刊費用等に支出予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)
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