研究課題/領域番号 |
24590829
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
加藤 則子 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (30150171)
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研究分担者 |
瀧本 秀美 独立行政法人国立健康・栄養研究所, その他部局等, その他 (50270690)
柳川 敏彦 和歌山県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80191146)
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キーワード | 多胎児 / 問題行動 / 国際情報交換 / オーストラリア |
研究概要 |
多胎児は、妊娠リスクを伴い出生児の問題から育児困難がおこりやすく、また、一度に二人以上を育てることによる育児負担も加わり、児童虐待を起こしやすくする要因にもなっている。これまで多胎児の育児支援が必要なことは強調されてきている。本研究は親子関係を改善するような親支援介入プログラムを多胎児に応用して、その有用性を評価しようとするものである。 すでに国内に50名在住する当該プログラム有資格ファシリテータに、多胎育児の特徴、多胎児の相互関係の特徴、多胎児家庭の困難など、多胎児の親に接する場合に必要な知識など、についての事前トレーニングを行った。研究フィールドの調整を行った。子育て支援NPO法人と連絡調整を行い、さいたま市の一部および和光市(埼玉県)に在住する多胎児家庭の数を把握できた。子育て支援NPO法人等と、調査協力体制等を整備した。 評価指標に関する事前準備を行った。PS(子育ての特徴―多弁さ、過剰反応、手ぬるさ)30項目、SDQ(親の感じる子育ての難しさ―交友関係、多動性、行為問題、感情問題)25項目、DASS(抑うつ不安ストレス尺度)42項目に関して、多胎児の親にプレテストを行いった。このほかに、多胎児の親子の関わりや、他の他胎児とのかかわりにより介入状況に影響があるかなど、多胎児特有の要素について分析するための構造化質問紙を作成した。 プレテストとして、和光市在住の双子を育てる親3名に双子版レベル3プライマリケアトリプルPを実施し、方法の妥当性を検証した。無作為ランダム化比較介入研究のデザインに従って、介入群3名待機群3名計6名に対してレベル3プライマリケアトリプルPの介入を行いその効果を質問紙で調査し、合わせて双子特有の育児の悩みと双子の行動変容がそれぞれに影響しあう状況について聞き取りを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
親子関係が改善されることが科学的に証明されているプログラムは、多胎児の親の様にリスクが高いグループにこそ行われることが望ましい。多胎児は、妊娠リスクを伴い出生児の問題から育児困難がおこりやすく、また、一度に二人以上を育てることによる育児負担も加わり、児童虐待を起こしやすくする要因にもなっているからである。育児負担が多く時間の都合の合わせにくい多胎児家庭にとって応用しやすく、効果を判定するうえで、双子のもう片方がどのようなかかわりをもつかを分析しやすいカスタマイズを行うことが目的である。親支援介入プログラムを多胎児に応用して、その有用性を評価することで研究成果を得る。 一年度目は、すでに国内に50名在住する当該プログラム有資格ファシリテータに、多胎育児の特徴、多胎児の相互関係の特徴、多胎児家庭の困難など、多胎児の親に接する場合に必要な知識など、についての事前トレーニングを行うことが、計画の一つである。また、研究フィールドの調整として、さいたま市の一部および和光市(埼玉県)に在住する多胎児家庭の数を把握し、地元の子育て支援NPO法人等を通じて、調査協力体制等を整備することが予定された。国立保健医療科学院の研究倫理審査委員会の承認を得た。 2年次は、地元の子育て支援NPO法人の協力を得て、パイロット研究を3組の双子の親に対して行い、多胎時間の問題行動の相互関係などについての構造的面接調査項目に関して見直しを行った。ランダムか対照介入研究を手がけた。先ず、6組の双子の親をエントリーし、介入群と待機群に分けた。介入群に20分の介入を1週間おきに4回、その間の3週間を待ってもらって、待機群に同プログラムを実施した。介入群にプログラムを実施した3週間の前途に関して、介入群と待機群の親に対して、子育ての特徴、子どもの問題行動、親の落ち込みや不安などの評価を質問紙調査によって行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は介入群3家族、待機群3家族についてプログラムを実施し評価を行ったが、調査対象者をさらに増やしてゆく必要がある。目標は60名の保護者であるので、さいたま市および和光市(埼玉県)に在住する、2歳から10歳までの多胎のうちの一名の単一の問題行動があって悩みを抱えている多胎児の親54名を層化無作為抽出行い、前期介入群と後期介入群に割り付ける。 介入群は事前調査後すぐに4週間にわたる介入を行い、介入後事後評価を行う。待機群は、事前調査ののち介入を行わずに4週間後に同様の評価を行い、介入のない場合の変化の状況を観察したのち4週間の介入を行う。後期介入群は、介入を行わない場合の比較対照のために設定するものであるが、悩みを抱えているので、比較対象のための観察後同様の介入によってケアを行う。 評価手法は主に三つの指標によって行う。PS(子育ての特徴―多弁さ、過剰反応、手ぬるさ)30項目。SDQ(親の感じる子育ての難しさ―交友関係、多動性、行為問題、感情問題)25項目DASS(抑うつ不安ストレス尺度)42項目。このほかに、多胎児の親子の関わりや、他の他胎児とのかかわりにより介入状況に影響があるかなど、多胎児特有の要素について分析するために、介入面接の逐語録を取る。 選定された親に4週間にわたる介入の実際を行う。1週目は主要問題のアセスメント(インテーク面接、介入支援の選択肢、行動記録)を行う。2週目は子育てプランの作成(アセスメント結果のフィードバック、問題行動の原因、変化への目標、子育てプランの作成)を行う。3週目は実践を振り返る(進度を確認する、その他の問題について)。4週目はフォローアップ(進度を確認する、その他の問題、プログラムの終了)を行う。介入に当たっては日時を決め多胎児家庭を訪問する。その際、面接が有効に行われるように、多胎児専門の保育技術を持つ保育者が同行する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費及びその他(原稿校正料等)の経費が予定額よりも少ない経費で済んだため。 旅費に関しては、学会参加が他の研究事業との関わりから当助成金からの支出を必要としなくなったものがあるため。 昨年度と同様の介入研究を続けてゆくため、それに必要な費用となる。多胎児の家庭に訪問して親子関係介入を行うので、家庭訪問旅費を使用する。介入結果の記録やデータの整理のために研究補助費を使用する。記録を取り、分析結果をファイルするための文房具等の消耗品費を使用する。これらの訪問調査のスケジュールのセットのための連絡調整に通信費を使用する。訪問調査の際、ふたごを保育している者が必要であるので、保育費を使用する。また、このような介入研究中に万が一不測の事故等によるけがなどが発生する場合の対応に保険にはいるため、保険料を使用する。
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