研究実績の概要 |
平成26年度は、これまでの研究期間に肥満関連遺伝子FTOと糖尿病関連遺伝子TCF7L2およびKCNQ1から選択した9つのTag SNPと大腸腺腫との関連を検討するため、遺伝子多型解析を行った。具体的には、肥満関連遺伝子FTOから6つのTag SNP(rs1421084, rs6499640, rs1558902, rs1121980, rs8050136, rs9939609)を、TCF7L2遺伝子から2つのTag SNP(rs7903146, rs12243326)を、KCNQ1遺伝子から1つのTag SNP(rs2237892)を選択し、遺伝子多型解析を行った。遺伝子多型解析はおおむね順調に実施することができ、いずれのTag SNPでもHardy-Weinberg平衡を満たしていた(P for HWE> 0.05)。統計解析では、9つのTag SNPと大腸腺腫との関連を検討するため、ロジスティク回帰モデルを用いて性・年齢・喫煙・飲酒などの潜在的交絡要因の影響を調整した大腸腺腫のオッズ比を求めた。これまでの研究期間に肥満関連遺伝子および糖尿病関連遺伝子から選択した9つのTag SNPと大腸腺腫との間に、統計学的有意な関連は見られなかった。統計学的に有意ではなかったものの、糖尿病関連遺伝子TCF7L2のrs12243326において、糖尿病のリスクアレルCと大腸腺腫との間に正の関連が示唆された(オッズ比:1.83、95%信頼区間:0.96-3.50、P値:0.07)。更に、糖尿病関連遺伝子TCF7L2のrs12243326と糖尿病との関連を検討したところ、既知のリスクアレルCと糖尿病との間に統計学的有意な関連は見られなかった(オッズ比:0.96、95%信頼区間:0.52-1.78、P値:0.89)。従って、本研究の結果は慎重に解釈する必要があり、他の集団において追試を行うなど更なる研究が必要であると考えられる。
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