研究課題/領域番号 |
24590836
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
吉田 裕人 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (40415493)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 健康長寿 / 医療費 / 介護費用 |
研究概要 |
平成24年度は、宮城県登米市で実施されてきた地域高齢者対象の健康調査の結果と老人医療費をリンクしたデータセットを活用し、基本チェックリストにおける二次予防対象者選定基準の各項目群(運動器、栄養改善、口腔、うつ以外20項目)の将来(二年後)の医療費に及ぼす影響を調べた。2006年度時点において宮城県登米市在住の65歳高齢者のうち、基本チェックリストに応答し、国民健康保険に加入していて、同年度及び2008年度に一度でも医療サービスを利用した65歳以上高齢者3、761人(男性1、567人、女性2、194人)を研究対象とした。分析方法としては、2008年度の月あたり医療費を目的変数、性、2006年度年齢、2006年度の月あたり医療費を調整変数、基本チェクリストにおける各項目群のみによる二次予防対象者該当の有無を独立変数とした重回帰分析を用いた。両年度の月あたり医療費は対数変換を行ったうえで重回帰帰分析を行ったが、運動器の項目群のみによる二次予防対象者該当だけが2008年度の月あたり医療費を9.7%有意に上昇させていた(p=0.002)。男女別に同重回帰分析(調整変数から性別を除いたもの)を実施すると、女性における運動器の項目群のみによる該当だけが2008年度の月あたり費用を11.3%有意に上昇させていた(p=0.001)。同地域において、基本チェックリストにより選定された二次予防対象者は運動機能低下よるケースが多く、低下群(運動器の項目群のみによる二次予防対象者選定群)の医療費が高額であることは既に示されているが(入江ら「基本チェックリストにより特定高齢者候補者が選出される項目群と医療費に及ぼす影響」第70回日本公衆衛生学会総会)、本研究により、運動機能の低下は地域高齢者の女性において将来の医療費にも強い影響を及ぼしていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の異動もあり、当初予定していた三つのフィールド(群馬県草津町、埼玉県鳩山町、兵庫県養父市)からのデータ使用は以前ほど容易ではない。しかし、申請書に記したように北海道美唄市と宮城県登米市とは、以前所属の機関とは関係なく共同研究を行った経緯があり、当研究課題遂行に必要なデータの提供を受けられる予定である。平成24年度は、美唄市を訪問し、担当者に研究内容を説明し、協力の同意を得ることができた。また、宮城県登米市と申請者所属大学との間の共同研究は過去10年以上実施されてきており、現在も良好な関係を築いている。美唄市同様、担当者から本研究課題遂行への協力の同意を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初、平成24年度に実際にデータ収集を行う予定であったが、研究代表者の異動もあり、北海道美唄市・宮城県登米市からのそれは実質今年度本格化する予定である。今後は、両市からの新たな分析用データセットの構築を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今後の研究の推進方策にも示したように、平成24年度はデータ収集が十分行えなかった。今年度は北海道美唄市・宮城県登米市を積極的に訪問し、調査などの打ち合わせを行う。そのうえで地域高齢者の健康情報、医療費・介護費用のデータ収集を行う。
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