研究課題/領域番号 |
24590836
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
吉田 裕人 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (40415493)
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キーワード | 健康長寿 / 医療費 / 介護費用 |
研究概要 |
平成25年度は,宮城県登米市で実施された高齢者健診の結果と老人医療費をリンクしたデータを使用し,地域高齢者の体力測定値(握力、Timed Up-&-Go Test、長座位立ち上がり時間)を通じて,運動機能の低下が将来(二年後)の医療費に及ぼす影響を調べた。 2006年度時点において登米市在住の65歳高齢者のうち,高齢者健診(体力測定を含む)を受診し,国民健康保険に加入していて,同年度及び2008年度に一度でも医療サービスを利用した65歳以上高齢者1,033人(男性430人、女性603人)を研究対象とした。統計学的方法は,2008年度の月あたり医療費を目的変数,性,2006年度年齢、2006年度の月あたり医療費,さらに健康度自己評価を調整変数,健診時に実施した体力測定から得た各変数,すなわち握力の最大値(2回測定),Timed Up-&-Go Testの最小時間(2回測定),長座位立ち上がりの最少時間(2回測定)それぞれを独立変数とした重回帰分析を用いた。データの正規性を考慮して両年度の月あたり医療費は対数変換を行ったうえで,重回帰帰分析を行った結果,長座位立ち上がり時間の1秒増加だけが2008年度の月あたり医療費を3.0%有意に上昇させていた(p=0.020)。さらに、男女別に同重回帰分析(調整変数から性別を除いたもの)を実施すると,女性における長座位立ち上がり時間の1秒増加だけが2008年度の月あたり医療費を3.7%有意に上昇させていた(p=0.009)。高齢者の長座位立ち上がり時間と将来の健康障害との関連は既に示されているが,特に地域高齢者の女性においてそれは将来の医療費にも強い影響を及ぼしていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度の研究代表者の異動により,当初予定していた研究フィールドから別のフィールドに完全に切り替えを行ったのが主な原因である。しかし,申請書に示したバックアップのフィールドである北海道美唄市と宮城県登米市との間で,今年度数度に渡り打ち合わせを行い,本研究課題遂行への協力の同意を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題遂行の最終年度である次年度(平成26年度)は,両フィールドよりデータを得,分析に必要なデータセットを構築し, ①健康長寿であることが終末期医療費・介護費用の抑制に寄与しているか。 ②高齢期のある時点における健康状態が終末期医療費・介護費用の抑制に寄与しているか。 ③健康長寿に寄与している要因は何か。 などを調べる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた研究フィールドに代わり,バックアップのフィールドへ研究協力をお願いした過程において,研究体制の構築に少し時間を要し,データ収集ができていないため。 本研究課題遂行の最終年度である次年度(平成26年度)では,データ収集を速やかに行い,分析を行う。そのデータ収集の際に掛かると考えられる人件費などに次年度使用額を充当する予定である。
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