研究課題
申請時においては、当該科研費研究遂行のためのバックアップのフィールドとして位置づけしていた北海道美唄市から、平成21年度~平成25年度における65歳以上(該当する年時において)死亡者の死亡前1年間の医療・介護費用を取得し、死亡時年齢によって違いがあるかを分析した。本年度は、2013年度年齢65歳以上の死亡者のうち、死亡前1年以内に一度でも国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険いずれかを使用した326人を分析対象とし、死亡前1年間における1人あたり平均累積医療費・介護費用を年齢階級別に算出した。その結果、医療費のみの場合は、死亡時年齢が低いほど高額であり、介護費用のみの場合は、逆に死亡時年齢が高いほど高額であった。そして、総費用(医療費+介護費用)の場合は、死亡時年齢80歳未満で約445万円、80歳台で約409万円、90歳以上では378万円と死亡時年齢が高いほど小額であった。また、女性のみ(n=169)で分析すると、順に約541万円、約457万円、約384万円となり、死亡時年齢80歳未満と90歳以上間において統計的に有意差が認められた(一般線形モデルによる多重比較、p=0.015)。死亡時年齢が高いほど総費用が小額になることから、地域高齢者の健康長寿による終末期医療・介護費用抑制の可能性を示すことができた。美唄市では、転倒予防を中心とした介護予防教室の参加者で、教室参加後に自主的に予防活動を継続した高齢者の集団を自主グループと呼んでいるが、今後は、この自主グループ参加者と非参加者間の死亡前1年間の医療・介護費用についても比較・検討する予定である。
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