研究課題
1)日本人の都市部住民を対象とした循環器病をアウトカムとしたコホート研究である吹田研究において、ウエスト周囲長身長比の循環器疾患予測因子としての意義を年齢階級別・性別に検証した。ウエスト周囲長・身長比が高いことは50-69歳の男性では循環器疾患、冠動脈疾患の発症リスク上昇と、50-69歳の女性では脳卒中の発症リスク上昇と有意に関連していた。ウエスト周囲長・身長比は日本人の中年男女において循環器疾患発症のハイリスク者を特定するのに有用であり、特に中年男性においては、腹囲よりも予測力が高かった。また、そのカットオフ値は性別、年齢階級別に設定すべきであることが示唆された。2)吹田研究において、腹囲の変化と2型糖尿病発症とに関連があるかどうかを検証した。その結果、男女とも腹囲が比較的高い集団において、腹囲増加は2型糖尿病発症リスクの上昇と関連しており、特に女性においてはbody mass indexの変化の影響を調整しても腹囲増加はリスク上昇と関連していた。このことより、日本人集団で腹囲の増加を予防することは、特に比較的腹囲の大きい集団において、2型糖尿病の発症予防に重要であることが示唆された。3)吹田研究において、高血圧発症を予測する指標として、Body Mass Index (BMI)と腹囲関連指標(腹囲(WC)・腹囲身長比 (WHtR)・腹囲臀位比(WHR))の予測精度の比較を行った。高血圧発症の調整後リスク(1標準偏差あたり)は男女ともいずれの指標でも有意な上昇を認めた(男で1.14-1.25倍、女で 1.22-1.32倍)。また、BMIと腹囲関連指標(WC・WHtR・WHR)の予測精度を統計学的に比較した結果、WC・WHtRでは有意な差を認めなかったが、WHRはBMIに比べやや予測精度が低いことが示唆された。
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Journal of Epidemiology
巻: 7 ページ: in press
10.2188/jea.JE20140160