研究課題/領域番号 |
24590838
|
研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
田上 貴臣 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (00321943)
|
研究分担者 |
武田 章弘 大阪府立公衆衛生研究所, 衛生化学部, 技師 (00622755)
|
キーワード | 薬学 / 分析化学 |
研究概要 |
【目的】漢方薬原料である生薬中のアリストロキア酸Iを分析するための公定法は、生薬由来の妨害を受け、アリストロキア酸Iの含有の有無を明確に判定できない場合がある。本研究では、固相抽出法と蛍光誘導化などの手法を組み合わせることにより、高感度かつ特異性の高い分析法の確立を目指す。 【方法】安全性情報において、アリストロキア酸が混入する可能性が指摘されている4種類の生薬を配合する漢方薬を対象として、アリストロキア酸I・IIの分析法の検討を行うこととした。また、分析方法は、平成24年度に生薬中のアリストロキア酸Iを対象として検討した分析法である陰イオン交換系の固定相を用いた固相抽出カートリッジと夾雑物の影響を受けにくい液体クロマトグラフ/質量分析計を用いることとした。 【結果】分析法の妥当性について検討したところ、今回検討した分析法は、11種類の漢方薬中のアリストロキア酸I・IIを選択的に分析することが可能であると考えられた。 【まとめ】今回検討した分析法は、選択的な分析が可能であることから、アリストロキア酸の含有が疑われた際の分析に有用であると考えられた。今後、確立した分析法を用いて市場に流通する漢方製剤を分析し、実態調査を行う。また、生薬の多くは漢方薬や生薬エキスへと加工される。製剤化においては抽出温度、抽出時間、様々な条件があることから、アリストロキア酸を含有するウマノスズクサ科の植物を用いて製剤化における挙動について検討する。さらに、健康食品からもアリストロキア酸が検出された事例があることから、その分析法について検討し、市場に流通する健康食品についても分析し、実態調査を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、漢方薬中のアリストロキア酸I・IIを分析するための高感度かつ選択性の高い分析法の確立を目指した。漢方薬は複数の生薬から構成されることから、生薬そのものよりも妨害となる成分が多い。しかし、平成24年度の検討を基に分析法の妥当性を確認したところ、陰イオン交換系の固定相を用いた固相抽出カートリッジと夾雑物の影響を受けにくい液体クロマトグラフ/質量分析計を用いることにより、漢方薬を対象としたアリストロキア酸I・IIの選択的な分析法を確立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度の検討はおおむね順調に進んだことから、交付申請書の通り次年度は、製剤化におけるアリストロキア酸の挙動について検討する。また、生薬・漢方薬を対象とした実態調査を行う。さらに、健康食品を対象として分析法の妥当性を確認し、実態調査を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当該年度の検討はおおむね順調に進んだが、次年度に使用する予定の研究費が生じた。次年度交付予定の金額と合わせ、効率的に研究を行う。 予定通り製剤化におけるアリストロキア酸の挙動について検討する。また、生薬・漢方薬を対象とした実態調査を行う。さらに、健康食品を対象として分析法の妥当性を確認し、実態調査を行う。
|