研究課題/領域番号 |
24590843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
高橋 和郎 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 副所長兼感染症部長 (10171472)
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研究分担者 |
左近 直美 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (50291216)
倉田 貴子 大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (70435890)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 迅速診断法 / 感染症 / 病原体 |
研究概要 |
平成24年度はQProbe法を用いてMLs耐性MPの遺伝子変異を検出し、感受性株感染患者と耐性株感染患者の臨床経過を比較検討した。 【方法】気道分泌物を用いた定性PCR検査でMP陽性と判定された症例71例の核酸を用いてQProbe法によりMPの23SrRNAドメインV内の2063・2064位の遺伝子変異を検出した。測定機器はGENECUBE(R)(東洋紡績㈱)を使用した。測定結果をもとにMP感染症の検査結果と臨床経過について後方視的に検討した。 【結果】QProbe法の結果、感受性株13例、耐性株45例、検出不能13例であった(検出率:81.7%、耐性化率:77.6%)。入院率は感受性株感染患者で15.4%、耐性株感染患者で31.1%と耐性株感染症例で高く、抗菌薬開始後の有熱期間も感受性株感染患者で1~6日(中央値2日)、耐性株感染患者で1~11日(中央値6日)と耐性株感染症例で有意に長かった( p<0.01:Mann-Whitney's U 検定)。炎症反応等の血液検査は両群に差を認めなかった。 【考察】今回の検討では入院率と治療開始後の有熱期間において感受性株感染患者と耐性株感染患者の間に有意差を認めた。耐性株症例ではMLsから感受性のある抗菌薬に変更後速やかに解熱していることが多く、耐性化の有無を早期に判定し有効な治療を選択できていれば入院率や有熱期間を軽減できた可能性がある。本研究で使用した方法は専用の機器を必要とするが、測定開始から結果判定まで1時間以内に完了するため、迅速検査としての有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は対象疾患をマイコプラズマ感染症とし、その検出法とマクロライド系抗生剤耐性遺伝子検出法の臨床検体における応用研究を行い、重要な疫学データならびに診療に応用できる知見が得られた。得られた成果を学会で発表し、現在、研究論文を作成中である。また、食中毒細菌(腸管出血性大腸菌、サルモネラ、カンピロバクター)およびインフルエンザウイルスを高感度に検出するGC法を現在作製中であるが、検出感度がやや低く改良を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は引き続き食中毒細菌、感染性胃腸炎ウイルス、インフルエンザウイルスの高感度検出系の確立を継続して進める。現在検討中の検出系はやや検出感度が低く、プライマー配列の改良を行い、それを克服する予定である。その確立後、臨床検体へ本方法を応用し、また従来のLAMP法やPCR法を同時に行い、その性能を評価する計画である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費のうち消耗試薬品費に若干の残額が発生したが、これは次年度に使用する予定である。平成25年度も24年度と同様に研究の遂行のため、多くは消耗試薬品費が必要で有り、実験助手のための人件費が必要である。
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