結核感染のリスクを軽減するためには,患者間の伝搬経路を可能な限り高い精度で推定し,感染拡大の防止を図らなければならない.本研究課題では,結核菌の全ゲノム情報を用いた高精度な菌株異同判定による伝搬経路推定の有用性を検証した.現行の遺伝子型別解析では単一クローンによる感染拡大と考えられた30株に着目し,全ゲノム解析を行った.その結果,これら30株の伝搬経路追跡に有益な,35箇所の一塩基変異が特定できた.本結果は,全ゲノム解析により,従来の結核分子疫学調査結果を補完することで,より詳細な感染伝搬経路の解明か可能であることを示している.
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