研究課題/領域番号 |
24590848
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢島 大介 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60451754)
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研究分担者 |
斉藤 久子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10292674)
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キーワード | 脂質過酸化 |
研究概要 |
平成25年度はMEFs(マウス線維芽細胞)を銅イオンの存在下で安定して細胞死に導く条件の検討を行った。以前の実験では酸化銅IIでは細胞死が発生せず、酸化銅Iあるいは金属銅で細胞死が発生することが確認されていたため、物質として安定してる金属銅を用いて今回は実験を行った。しかし、今回の実験では安定して死亡に至る条件は見いだせなかった。金属銅表面に形成される酸化被膜などが原因と推定されたが、酸化被膜を除去したものでも、安定した結果が得られなかった。そのため、まずは金属銅で細胞死を起こしたものと、無添加の細胞死を起こしていないものとでカルジオリピンに変化があるのか比較を行うこととした。各々の細胞をホモジナイザーで粉砕した後にTLC(薄層クロマトグラフィ―)を用いて各種リン脂質を分離し、カルジオリピンのみを抽出しクロロホルム/メタノール液に溶解し分析試料とた。試料をLC-MS/MSで分析を試みたが、通常のカラムでは分離がうまくできず、また通常のイオン化法では効率よくイオン化させることができず、分析条件の検討が必要であった。カルジオリピンの液体クロマトグラフィーを用いた分析では親水性カラムが適していること、大気イオン化法がより効率がよいことから、新規のカラムを用いてのLC-MS/MSを用いた分析を試みているところである。カルジオリピンは単一の脂質ではないこと、比較的微量であること、脂質ではイオンが難しいことなどから容易に検出はできず、カラムや移動相、MS条件など分析条件のかなりの検討が必要であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は6月から11月まで海外出張があり、その間は研究に関する海外での情報収集のみで実験ができなかったこと、および細胞死が安定して発生する条件検討に時間を要したが、結局不首尾に終わり、LC-MS/MSを用いたカルジオリピンの分析条件の検討も同時に行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
LC-MS/MSを用いてカルジオリピンを分析する際の条件検討を継続して行う。ある一定の条件ができた上で、細胞死の発生したものと、発生していないものでカルジオリピンの過酸化状態に違いがあるかを明らかにする方針とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度6月から11月の6か月間、海外出張があり、この間は研究に関する文献および海外研究者からの情報収集のみで実験が行えなかったこと、細胞死を引き起こす条件検討およびカルジオリピンのLC-MS/MS分析条件の検討に時間がかかり、前年度に購入した機器や試薬を使用したこと、次年度は他の職場への異動があり、機器の移管や試薬・器具を改めて揃える必要がありそのために基金を有効に利用したいと思ったことが理由である。 異動先の職場では、本研究と関連のある研究は行っていないことから、必要な機器や不足している試薬を揃えるために前年度分も合わせて利用する予定である。また、異動先のLC/MS/MSにてカルジオリピンおよびその過酸化物の分離・同定ができるようにカラムや機器の調整を行い、実際の細胞を用いた研究へと進めていくことにも利用する予定である。
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