研究課題/領域番号 |
24590849
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斉藤 久子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10292674)
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研究分担者 |
永澤 明佳 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30536735)
矢島 大介 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60451754)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / スウェーデン / 歯 / ラセミ化反応 / 放射性炭素測定 / DNA型検査 |
研究概要 |
本年度は、司法解剖死体20体から下顎の第一小臼歯を採取した。これらの歯のうち、10本から象牙質を採取し、アスパラギン酸を利用したラセミ化反応の測定を行い、年齢推定を行った。また、残りの歯10本の歯髄からDNAを抽出し、個人識別キットであるIdentifiler kit及び Yfiler kitを用いたDNA型検査を行った。これらの歯のうち2本からは、エナメル質を採取し、パレオラボ社による放射性炭素の測定を行い、検体の誕生年の推定を行った。 ラセミ化測定に関しては、一般的なラセミ化率より低い値が得られ、改善が必要であった。現在、別の蒸留装置を用いることを検討しており、さらに現在使用しているGC/MSをHPLCに変更すべきかを検討している。また、放射性炭素測定に関しては、予想よりも検体が古すぎたため、年代測定が古代となり、誕生年の測定にはいたらなかった。 DNA型検査に関しては、いずれも良好な結果が得られ、現在の抽出方法、個人識別キット及び増幅方法で問題ないと思われる。 今後は、試料である歯の検体数を増加し、ラセミ化反応の測定法を確立し、ばらつきのある年代の検体から放射性炭素測定を行う予定である。また、下顎の第一小臼歯だけではなく、上顎の小臼歯も検討し、1本の歯からすべての方法が行えるような条件検討を行っていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の実験では、ラセミ化測定に関しては、一般的なラセミ化率より低い値が得られため、改善が必要である。今まで用いていた蒸留装置は、濃縮遠心機であったため、時間がかかることとコンタミしやすいことが挙げられる。現在、検討している蒸留装置は、蒸留専用のエバポレーターであり、今までよりも短時間で蒸発するため、コンタミが少ないと考えられる。また、現在、検出機器は、GC/MSを用いているが、カラムの変更を行ったことも遅れたことの一要因である。また、最近はヘリウムガスをすぐに得られないという悪条件が重なっている。したがって、今後は、GC/MSをHPLCに変更すべきかを検討している。 放射性炭素測定に関しては、業者の選定に時間がかかったことと、測定を行った検体が古代であったため、誕生年の推定にはいたらなかった。ばらつきのある年代の検体を選定し、放射性炭素の測定を行っていく予定である。 DNA型検査に関しては、いずれも良好な結果が得られており、今後は最新のシーケンサー導入により、さらに良い結果が得られることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の実験結果を踏まえて、まずは、ラセミ化測定の方法の確立を行い、また、放射性炭素測定の結果の解釈に関して、いろいろと検討していきたい。まずは、試料である歯の検体数を増加し、ラセミ化反応の測定法を確立し、次に、ばらつきのある年代の検体から放射性炭素測定を行う予定である。また、試料となる歯の部位に関しても、下顎の第一小臼歯だけではなく、上顎の小臼歯も検討していきたいと考えている。 個人識別に関するDNA型検査に関しては、今までの方法に加えて新しいキットを検討し、検出機器も最新のもので行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
ラセミ化測定に関する費用は安価であるが、放射性炭素測定に関しては、加速器質量分析装置(AMS)を保有している業者への依頼となるため、かなりの費用が必要となる。今年度は、ラセミ化測定とDNA型検査を中心に行ったため、未使用額が生じた。 次年度は、ラセミ化測定に関するできるだけ多くの実験方法を行い、なるべく早く方法の確立を行う予定である。また、個人識別に関するDNA型検査に関しては、新しいキットを検討したいと考えている。また、放射性炭素測定に関しては資料数を増加する予定である。 従って、次年度は、ほとんどの研究費を放射性炭素測定に費やし、検体の誕生年の推定が行えるようにする。また、ラセミ化測定の実験方法の確立とDNA型検査の精度の向上を行っていく。
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