研究課題/領域番号 |
24590850
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂 幹樹 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術専門職員 (30447388)
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キーワード | 薬毒物分析 / 定量的構造物性(活性)相関 / 予測モデル / 液-液抽出 / 回収率 / 生体試料 / 法医学 |
研究概要 |
本研究は化学的な現象における主要因を定量的構造物性相関(QSPR)解析により明らかにし、その予測モデルを構築することにある。平成25年度は、従来より研究してきたガスクロマトグラフィーのマトリックス効果予測モデルを完成することができ、その論文、「Saka et al. Relationship between the matrix effect and the physicochemical properties of analytes in gas chromatography. Anal Bioanal Chem. 2013; 405: 9879-9888」を掲載することができた。この論文の投稿過程における査読者の厳しい指摘もあり、QSPRで注意を払わなければならないところなど多くのことを学ぶことができた。この研究で得られた知見を活かすことによって、次のテーマをQSPR解析するときには、よりステップアップした予測モデルの構築を目指すことができる。 次のテーマは“薬物抽出の回収率予測モデル”であり、追加購入し約250種類となった薬物の標準溶液を作り直した。その中から抽出の際に不安定な挙動(分解・反応など)を示す薬物をモデル作成の対象(サンプル)から除く作業を行った。次に、薬物をLC-MS/MSで定量するため、それぞれの薬物に対しMRM条件を最適化した。現在、様々な有機溶媒を用いて回収率のデータを採っている途中であり、予測モデルを作成後、本年度中に論文投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前から進めていた“マトリックス効果予測モデル”は、論文という形で締めくくることができた。QSPRによる予測モデルの作成は、この研究で初めて取り組み、学ぶことが多かった。次なるテーマの“薬物抽出の回収率予測モデル”はやや出遅れたが、前研究で得られたノウハウが大きく、見通しも立っているし、さらなる飛躍が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
様々な有機溶媒を用いた回収率のデータは約200ぐらいの薬物を対象にして集める予定だが、クオリティの低いデータはかえってモデルの精度を低下させる。よって、モデル作成の前に多変量解析ソフトウェアSIMCAを用いてデータの特徴をつかむことに努める。そして、アウトライヤーを削除するとともに、有効なパラメータを大まかに把握する。次に、ADMEWORKS/ModelBuilderを用いてパラメータの決定からモデル作成を行う。前研究では、データが少なかったため内部検証しかできなかったが、今回は、外部検証をしっかり行うことによって、堅牢なモデルを作成したいと考えている。
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