研究課題
京都大学大学院医学研究科法医学講座にて保管されていた法医解剖由来血液試料を用いて、常染色体上計37ローカスの日本人におけるアレル頻度を調べた。タイピングを行う中で、D5S818、D18S51、D19S433、F13B、FGA、Penta Eの6ローカスにおいて、これまでに報告の無かったアレルや報告例の少なかったアレルが認められ、その塩基配列を明らかにした。また、染色体15番上に位置するPenta EとFESFPSが連鎖不平衡にあることが示唆された。そこで、FESFPSを除く36ローカスについて、シミュレーションを用いた二者間での血縁鑑定における尤度比の分布を評価を行い、血縁鑑定における対象ローカスの増加の有用性が示唆された。このアレル頻度データをもとに、市販タイピングキットMinifilerのローカスを補完しつつ、日本人の個人鑑定に有用な7ローカスを選定し、劣化試料のDNAタイピングを効率良く行えるようデザインした。ヒト肝癌細胞株HepG2由来のDNAを本キットに供すると、すべてのローカスで良好な結果が得られたのに対し、アフリカミドリザル腎細胞株COS7由来のDNAでは、有意なシグナルは観察されなかったことから、ヒト由来DNAを選択的に検出可能であることが示唆された。法医解剖にて採取された劣化試料を本キットに供すると、幾つかのローカスで有意なシグナルが得られたことから、今後の劣化DNA試料の解析において新たな一手段となり得ることが示された。
すべて 2015
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Legal medicine (Tokyo, Japan)
巻: -- ページ: --
doi: 10.1016/j.legalmed.2014.12.007.