研究課題/領域番号 |
24590857
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中西 祥徳 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10217763)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ストレス / クロモグラニンA / メッセンジャーRNA |
研究概要 |
1. 精神的ストレスにより唾液中に分泌される可溶性蛋白であるクロモグラニンA(CgA)のmRNAを、剖検例の脳下垂体、副腎および顎下腺においてRT-PCRにより相対的に定量する方法を検討した。既報(Sarutaら2005年およびZatelliら2008年)に従って行ったRT-PCRでは、脳下垂体および副腎のCgA mRNAの相対的定量は可能であったが、顎下腺ではまったくRT-PCR産物が検出されなかった。そこで、日本DNAデータバンクに登録されているヒトCgAの遺伝子配列に基づき、既報よりもpoly-A末端側に位置する5ヵ所(nt1056-1293、nt1056-1550、nt1243-1372、nt1352-1797およびnt1720-1929)についてRT-PCRによるCgA mRNAの検出を検討し、2ヵ所 (nt1243-1372およびnt1720-1929)でのみ顎下腺からもCgA mRNAのRT-PCR産物が得られた。RT-PCR産物はダイレクトシークエンスにより塩基配列を確認した。 2. 死後48時間以内の剖検例62例(自殺症例:外傷死7、焼死3、窒息死3、溺死2;非自殺症例:外傷死20、焼死11、病死9、溺死6、窒息死1)の顎下腺につき、RT-PCRによるCgA mRNAの相対的定量を検討し、いずれの症例においてもCgA mRNAの定量が可能であることを確認したが、現在のところ、死因や死亡状況(自殺か否か)によるCgA mRNA発現量の相違は認められていない。 3. 拘束水浸ストレス(水温22℃30分)負荷ラット(wistar系、12-13週齢、♂)の脳下垂体、副腎および顎下腺におけるCgA mRNAの相対的定量を行うためのRT-PCR条件(プラーマーの検索、温度条件の検討など)を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1. 当初の予定(20-30症例)よりも多くの剖検例(62症例)について検討できた。 2. 平成25年度実施予定の水浸ストレス負荷ラット実験のRT-PCR条件を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 剖検例の症例数を増やし、引き続きCgA mRNA発現量と死因や死亡状況との関連を調査する。 2. 水浸ストレス負荷ラットを用い、ストレスの量的相違(ストレス負荷時間、急性又は慢性ストレス負荷)またはストレス負荷後の経過時間によって顎下腺、脳下垂体、副腎のCgA mRNA発現量に相違があるか否か検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. total RNA抽出用試薬、RT-PCR用試薬、RNA安定化試薬、電気泳動試薬などの消耗品費。 2. 実験動物購入費。 3. 研究成果発表または情報収集のための学会参加経費。 などに使用予定である。
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