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2013 年度 実施状況報告書

自殺鑑別の分子生物学的指標へのストレスマーカークロモグラニンAの応用

研究課題

研究課題/領域番号 24590857
研究機関高知大学

研究代表者

中西 祥徳  高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (10217763)

キーワード精神的ストレス / 自殺 / クロモグラニンA
研究概要

1.  長時間または長期間の拘束水浸ストレス(①30分間1回、②1時間1回、③1時間毎30分間1回を5回、④24時間毎30分間1回3日間または⑤24時間毎30分間1回9日間)を負荷後0分、30分、1時間、2時間および4時間経過したラット(wistar系12-13週齢♂)をウレタン麻酔(1.6 g/kg腹腔内投与)により安楽死させ、脳下垂体、顎下腺および副腎のクロモグラニンA(CgA) mRNAをRT-PCRで定量した。陰性対照として、ストレスを負荷しないラットを用いた。その結果、いずれの条件においても、ストレス負荷によると思われる脳下垂体、顎下腺および副腎のCgA mRNA発現量増加は認められなかった。連続ストレス負荷(③―⑤)では、顎下腺のCgA mRNA発現量は減少する傾向が認められた。
2.  短時間の拘束水浸ストレス(5分間1回)負荷後0分または30分経過したラット(wistar系12-13週齢および36-38週齢♂)の脳下垂体、顎下腺および副腎のクロモグラニンA(CgA) mRNAをRT-PCRで定量した。陰性対照としてストレスを負荷しないラットを用いた。その結果、36-38週齢ラットでは、ストレス負荷後の脳下垂体、顎下腺および副腎におけるCgA mRNA発現量が、統計学的有意差はないものの、増加する傾向が認められた。12-13週齢ラットではその傾向は認められなかった。
3.  死後48時間以内の剖検例62例(自殺症例:外傷死7、焼死3、窒息死3、溺死2;非自殺症例:外傷死20、焼死11、病死9、溺死6、窒息死1)の脳下垂体、副腎、顎下腺につき、RT-PCRによるCgA mRNAの相対的定量を検討し、いずれの症例においてもCgA mRNAの定量が可能であることを確認したが、現在のところ、死因や死亡状況(自殺か否か)によるCgA mRNA発現量の相違は認められていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 剖検例(62症例)の脳下垂体、顎下腺および副腎について、RT-PCRによるCgA mRNAの相対的定量を検討できた。
2. 拘束水浸ストレス負荷ラットの動物実験から、ストレス負荷条件によるCgA mRNA発現の状況を把握できた。

今後の研究の推進方策

前年度までの動物実験および文献の検討により、CgAはストレスに対して速やかに発現するものの、ストレスの加重や蓄積で発現量が相加的または相乗的に増加するものではない可能性が考えられた。この点において、実験開始当初の目的の一部(精神的ストレスの蓄積程度をCgA mRNA発現量により定量的に評価する)は達成できない可能性がある。しかしながら、脳下垂体、顎下腺および副腎のCgA mRNA発現量は、自殺遂行直前の過大なストレスを反映して短時間で一時的に増加する可能性があることから、CgA mRNAは、自殺-非自殺鑑別の分子生物学的指標となる可能性は多いに期待できると考える。今後は、剖検例を中心に脳下垂体、顎下腺および副腎におけるCgA mRNA発現量と死亡の状況(自殺-非自殺の推定、死因、死亡直前の精神状態の推定など)との相関について検討を進める。なお、剖検例に対する本研究は、高知大学医学部倫理委員会の承認を得ている(承認番号:2014-005)。

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公開日: 2015-05-28  

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