拘束水浸ストレス負荷ラット(wistar系12-13週齢および36-38週齢♂)の脳下垂体、顎下腺および副腎のクロモグラニンA(CgA) mRNA発現量の検討(陰性対照:ストレス非負荷ラット)。1.短時間の拘束水浸ストレス(5分間1回)負荷では、36-38週齢ラットにおいてのみ、ストレス負荷後の脳下垂体、顎下腺および副腎におけるCgA mRNA発現量が若干増加した(統計学的有意差なし)。2. 長時間又は長期間の拘束水浸ストレス(①30分間1回、②1時間1回、③1時間毎30分間1回を計5回、④24時間毎30分間1回3日間又は⑤9日間)負荷ラットでは、いずれの条件においても、ストレス負荷によると思われる脳下垂体、顎下腺および副腎のCgA mRNA発現量増加は認められなかった。連続ストレス負荷(③-⑤)では、顎下腺のCgA mRNA発現量がむしろ減少する傾向が認められた。 死後48時間以内の剖検例62例(自殺症例:外傷死7、焼死3、窒息死3、溺死2;非自殺症例:外傷死20、焼死11、病死9、溺死6、窒息死1)におけるCgA mRNA発現量の検討。1.日本DNAデータバンクのヒトCgAの遺伝子配列に基づき独自にデザインしたプライマー2種(HCgA-130: nt1243-1372およびHCgA-210: nt1720-1929)を用いた検討では、いずれの症例においても死因や死亡状況(自殺か否か)によるCgA mRNA発現量の大きな相違は認められなかった。2. 既報(Sarutaら2005年)のプライマーを用いて検討した結果、顎下腺では全くRT-PCR産物が検出されなかったが、脳下垂体および副腎において、自殺症例のCgA mRNA発現量が非自殺症例に比して増加する傾向が認められた(p<0.05)。
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