精神ストレスの高感度マーカーであるクロモグラニンA(CgA)蛋白のメッセンジャーRNA(mRNA)を指標として、自殺鑑別の精度向上を試みた。諸種拘束水浸ストレスを負荷したWistar系ラット(12-38週齢)の脳下垂体、副腎、顎下腺におけるCgA mRNA発現量は、ストレス負荷時間や回数により顕著な変化を示さなかった。法医剖検例(62例)に対する検討では、脳下垂体および副腎において、自殺症例のCgA mRNA発現量が非自殺症例に比して増加する傾向が認められた。脳下垂体および副腎におけるCgA mRNA発現量の増加は、生前の精神的ストレスの定量的指標となり得る可能性が示唆された。
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