研究課題/領域番号 |
24590860
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西谷 陽子 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30359997)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルコール / 肝細胞 / クレアチン産生 |
研究概要 |
この研究は、アルコール等の濫用薬物による臓器障害メカニズムを明らかにするため、腎臓および肝臓のタンパク酵素を介して生合成されるクレアチンに着目して、アルコールによる合成障害について検討を行う。また、メタボリックシンドロームなどで見られる細胞内への脂質の蓄積が及ぼす影響を検討することを目的とする。肝細胞におけるクレアチン産生とエタノールの影響を詳細に検討するため、ラットより初代肝細胞培養を実施し、0~100mMエタノールが含まれる培地を負荷し、24時間後に培地と細胞質画分を抽出し凍結保存した。培地に含まれるクレアチン量をクレアチニン測定キットあるいは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検討を試みた。測定キットでは培地中のクレアチニン量はエタノール負荷により著明に低下した。より詳細にクレアチンおよびクレアチニンの生成量を測定するため、HPLCを用いて測定を試みたところ、培地に含まれるアミノ酸類のアーチファクトの影響が強く測定が困難であった。そこで、Krebs液を用いたアミノ酸フリーでの肝細胞培養を試みているが、この培地における細胞の生存率などの基本情報を確認する必要があり、また通常の培地に比べ細胞の生存期間が短いことから十分なクレアチニン産生を確認するための方法を検討しているところである。平成24年度は、測定キットより得られた結果を元に、日本アルコール薬物医学会で1回の発表筆頭者としての発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝細胞におけるクレアチン産生とエタノールの影響を詳細に検討するため、初代肝細胞培養を実施したが、まず測定キットの正確性・再現性を確認するために高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた検討を行ったが、アミノ酸による高度のアーチファクトが予想外に認められたため検出が難しく、Krebs液を用いたアミノ酸フリーでの肝細胞培養などほかの方法での確認が必要となった。そのため、本来実施予定であったタンパクレベルでの検討には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
エタノール負荷による肝細胞培養培地内のクレアチニンおよびクレアチン変化の状況を、アミノ酸フリー培地を用いた肝細胞培養系で確認を行う。あるいは一部のアミノ酸を負荷するなど実験条件を変更してよりわかりやすいモデルを作成する。その後、実際に肝細胞内に含まれるクレアチン産生関連の酵素やタンパクがエタノール暴露により変化がないかを検討し、それらのタンパクや酵素と小胞体ストレス応答あるいは肝細胞への脂肪蓄積との関連を明確にする。
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次年度の研究費の使用計画 |
初代細胞培養を実施するための実験動物、免疫染色やウェスタンブロッティング解析、定量的real time RT-PCR法を用いるため、これらの手法に関する試薬・抗体・プライマー等に多くの経費を使用する。また、本研究の研究発表のため、国内出張(1回)論文校正および投稿(1編)を予定している。
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