研究課題
マウスを用いて下大静脈結紮による深部静脈血栓症(DVT)モデルを作成して,血栓内の骨髄由来線維細胞(fibrocyte),血管内皮前駆細胞(EPC)の,血栓陳旧度にともなう動態を明らかにするとともに,血栓形成・溶解に関わっていると考えられるサイトカイン,ケモカイン,およびその受容体の役割について検討した.すでに野生型マウスの血栓ではfibrocyteは血栓陳旧度にともなって変化し,下大静脈結紮後14日後に最も増加することが分かっている.さらに血栓中のEPCは結紮から10日後に最も多く観察され,その数の変化により,血栓陳旧度を評価できることが明らかになった.また血栓中のサイトカインやケモカインを解析することにより,その予防・治療法開発に重要な結果を得られる可能性があることが示唆されていたのだが,特に今年度は,野生型マウスに比較してCCR5ノックアウトマウスで,血栓の溶解が遅延する結果を得た.CCR5ノックアウトマウスの血栓中には,野生型に比較して,Plat(tPA)とPlau(uPA)遺伝子の発現量が低下していることが分かった.そこでCCR5のリガンドである,CCL3,CCL4,CCL5それぞれの血栓形成・溶解過程における動態や役割の解明を試みた.その結果,野生型マウスの血栓において,血栓陳旧度にともない,CCL3およびCCL5が増加する傾向が認められた.また蛍光二重染色の結果,血栓中のマクロファージがCCL3やCCL5を産生していることが分かった.さらに,野生型マウスの腹腔内マクロファージをマウスリコンビナントCCL3やCCL5で刺激して,プラスミノーゲン活性化因子の遺伝子発現を,リアルタイムRT-PCRで検索したところ,CCL3によってPlat(tPA)が,CCL5によってPlau(uPA)遺伝子発現が増加することが分かった.
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Int J Legal Med
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DOI 10.1007/s00414-015-1147-9
DOI 10.1007/s00414-015-1168-4
DOI 10.1007/s00414-015-1167-5