研究課題
本年度は三環系抗うつ薬および農薬を対象として以下の検討を実施した。1.三環系抗うつ薬:対象薬物としてイミプラミン、アミトリプチリン、トリミプラミンを用いた。MIPはアミトリプチリンを鋳型とし、MAA、EGDMA、ABIN、メタノールの存在下で合成した後、メタノール-酢酸-ギ酸でMIPの洗浄を十分行った。固相抽出は血漿および尿をリン酸緩衝液(pH 7)で調整後、メタノール溶出を行った。定量はGC/MS-SIM分析を行い、回収率はイミプラミンおよびアミトリプチリンが約60%、トリミプラミンが約40%であった。検量線は10~200ng/ml、CV値は約20%以下であった。全血を用いた場合は、回収率が40~50%、検量線は30~100ng/ml、CV値は約30%以下であった。本研究では人体資料として血漿、全血、尿を使用したが、アミトリプチリンMIPは、人体資料の種類に関係なく、トリミプラミンに対しての共有性が低かった。一方、GC/タンデムMS法による検出において、MIP抽出後の血漿中三環系抗うつ剤は、検量線が2~100ng/mlの範囲、CV値が約10%以下であった。2.農薬: 対象の農薬としてマラチオン、ダイアジノン、ジメトエート、クロルピリホス、メチダチオンの有機りん系農薬を用いた。MIPはマラチオンを鋳型とし、MAA、EGDMA、ABIN等の存在下で合成した後、メタノール-酢酸で洗浄した。固相抽出は血漿及び尿を酢酸アンモニウム緩衝液(pH 6)で調整後、メタノール溶出を行った。抽出された農薬は、GC/MS-SIM法を用いて測定を行った。回収率は20~40%、検量線は80~300 ng/ml、CV値は約25%以下であった。一方、マラチオンMIPは、人体資料の種類に関係なく、メチダチオンおよびダイアジノンに対しての共有性が低く、回収率が10~25%であった。
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Legal Medicine
巻: 24 ページ: 36-55
http://dx.doi.org/10.1016/j.legalmed.2016.11.005