研究課題/領域番号 |
24590866
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
原 修一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70208651)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 一酸化炭素中毒 / ラット / 線条体 / mRNA |
研究概要 |
ラットに1000 ppmあるいは3000 ppmの一酸化炭素(CO)、あるいは5%酸素(3000 ppm COと同程度の低酸素状態)を40分間曝露後、0、2、6および12 h (5%酸素は6hまで)の脳線条体mRNA発現を無処置ラットと比較した。3000 ppm CO の0hで発現が確実に検出できたmRNAのうち、Normalized値(N) >2、且つ1000 ppm COで<1の条件で検索した結果、N>4: alkaline phosphatase 1(intestinal, defined by SSR)、common salivary protein 1 (CSP1); 3<N<4:dual oxidase 2 (Duox2)、transformation related protein 63、Ac2-248; 2<N<3:tryptophan 5-hydroxylase 1、chemokine (CXC motif) ligand 1および2、GATA binding protein 6、troponin I(skeletal, slow 1)であった。これらの発現は、無処置ではほとんど認められなかった。また、CSP1は、2h (N=2.8)、6h (N=1.9)と発現誘導が持続した。ただし、5% 酸素の2hでN=4.5であった。一方、1<N<2のなかで、oxoglutarate receptor 1は、0h(N=1.8)から6h(N=0.4)まで検出可能であったのに対し、1000 ppm COおよび5%酸素ではほとんど認められなかった。また、すべての測定で発現が認められたheat shock 70kD protein 1Aは、3000 ppm CO、0h~6hでのみ弱いながらも発現が誘導された(N=1.1~1.3)のに対し、それ以外では抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の実験計画通りの実験を行い、上述のような結果を得たことから、おおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究で得られた結果に基づき、1000 ppm CO中毒(中程度CO中毒)では発現が誘導されず、3000 ppm CO中毒(重度CO中毒)で誘導されるmRNAについて、リアルタイムPCRを用いて再現性を確認する。この場合、mRNAの発現が強く誘導されたalkaline phosphatase 1(intestinal, defined by SSR)、common salivary protein 1 (CSP1)およびdual oxidase 2 (Duox 2)を優先して行う。さらに、Duox 2については、ヒドロキシルラジカル生成との関連性が予想されることから、ヒドロキシルラジカル生成に対するDuox 2の阻害剤投与およびsiRNA投与の影響を検討する。阻害剤としては、DPI(diphenylene iodonium chloride)およびAEBSF (4-(2-Aminoethyl) benzenesulfonyl fluoride hydrochloride)を用い、マイクロダイアリシスによるヒドロキシルラジカル測定時、灌流液に溶解して線条体に直接投与する。siRNAは、分解を抑制する市販のin vivo 用transduction reagentと混合して線条体に直接投与し、24時間後にヒドロキシルラジカルの測定を行う。なお、siRNAは、まず推定される配列の3種の混合物で試験を行い、抑制効果が認められれば各々のsiRNAについて再度試験する。この場合、ランダム配列のRNAを対照として同様に投与する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度予算の残金は3,028円であった。これは小額であることから平成25年度予算と合算して使用する方が効率的であると考えられた。そのため、上述のような平成25年度研究計画の予算として使用する予定である。
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