研究課題/領域番号 |
24590875
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金澤 素 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70323003)
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研究分担者 |
鹿野 理子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20344658)
福土 審 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80199249)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 過敏性腸症候群 / 養育環境 / ストレス / コルチコトロピン放出ホルモン / 消化管運動 / 内臓知覚 |
研究概要 |
仙台市在住の一般住民から募集した7歳児とその母親311組を募集した。母親のIBS症状、Child Symptom Checklist (CSCL) による子どもの消化器症状、Parental Bonding Instrument (PBI) による自分自身の日常の養育態度と小児期に自分の母親からの養育態度、Adult Response to Child Symptoms (ARCS)による子どもが腹痛を示した際の母親の反応ならびに子どもの腹痛による活動制限日数を評価した。 101例の母親が慢性の腹痛症状を示した(IBS診断者 71例)。腹痛を認める母親では腹痛のない母親と比較して、子どもの消化器症状スコアがより高く(p=0.01)、子どもの活動制限日数がより長かった(p<0.05)。一方、腹痛を訴える子どもの母親(104例)では腹痛のない子の母親と比べると、過保護(過干渉)スコアがより高く(p<0.05)、症状出現時の気遣いスコアがより低かった(p<0.01)。母親自身の養育態度スコアと自分の母親の養育態度スコアは有意に相関した(ケア因子、過保護因子、それぞれ p<0.01)。 米国の結果と同様に、IBS症状を有する母親の子どもは腹痛を訴えやすい。加えて、親の過干渉の養育態度は子どもの腹痛症状に関連する。しかし、我が国においては腹痛を訴える子どもの親は症状を強化しうる気遣い行動をあまりとらない傾向にあることが明らかになった。 さらに、パイロット試験として大腸バロスタット検査によるコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)負荷刺激に試験をIBS患者5例に施行した。本プロトコールによって、安全でかつ的確に大腸平滑筋トーンならびに大腸知覚を観察可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24年度は、親の養育行動とその子どもの消化器症状の関連性を評価する質問票調査において計画以上の対象親子の募集ができたため、データ解析まで遂行することができた。平成25年度はさらなる対象者を募集して、データ解析の精度を高める。 さらに、大腸バロスタット検査によるCRH負荷刺激試験のプロトコールの確立がパイロット試験によって確認された。従って、当初の計画通りに平成25年度から実施予定の消化管生理検査である大腸バロスタット検査の信頼性が担保された。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、当初の計画通り親の養育行動と子どもの消化器症状の関連性の評価の継続ならびに前年度に確立された大腸バロスタット検査によるCRH負荷刺激試験を行う。 親の養育行動と子どもの消化器症状の関連性の評価では、得られたデータを親のIBS症状の有無、子に対する過干渉あるいは気遣い行動とその子どもの発育、消化器症状、日常活動制限との関連性について単変量解析、多変量解析によって詳細に推定する。得られた所見をまとめた成果の一部を学会にて公表する。 大腸バロスタット検査によるCRH負荷刺激試験では、10例のIBS患者と年齢・性をマッチさせた10例の健常者に対して実施する。CRH投与前、CRH投与15分、30分、60分、90分、120分後に採血を行い、各期のACTH、コルチゾール濃度を測定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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