研究課題/領域番号 |
24590876
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 純人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20323579)
|
研究分担者 |
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20431869)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 老化 |
研究概要 |
加齢性筋減少症(サルコペニア)に対する核内受容体リガンドや栄養(分枝鎖アミノ酸代謝物)、運動を介した疾患抑制機構を明らかにするため、骨格筋におけるビタミンD、性ホルモンによる骨格筋での抗炎症・老化作用、アポトーシス抑制作用、筋分化誘導作用について遺伝子レベルで解析した。また疾患・老化モデルマウス(後肢懸垂マウス、精巣摘除後マウス、SAMP8マウス)を用いて、ビタミンDや分枝鎖アミノ酸代謝物(HMB)を投与した際の骨格筋レベルでの抗炎症作用、アポトーシス抑制作用に関する解析を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋骨格系の加齢変化について遺伝子レベルで解析し、ビタミンD、栄養、運動等による骨格筋での抗炎症・老化作用、アポトーシス抑制作用、筋分化誘導作用について遺伝子レベルで解析できた点で、本研究の研究目的、計画は概ね順調に推移していると考えられる。引き続き、後肢懸垂マウス、精巣摘除後マウス、SAMP8マウスなどの疾患・老化モデルマウスを活用して、in vivo におけるビタミンDやHMBによる骨格筋レベルでの抗炎症作用、アポトーシス抑制作用、および両者の相加的・相乗的作用について解析を進めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
疾患・老化モデルマウスにおける慢性炎症の解析および核内受容体トランスリプレッションを介した抗炎症、サルコペニア抑制機構の解明を継続的に行う予定である。加齢に伴う骨格筋機能の変化として、筋骨格系におけるTNFα、IL-6をはじめとする炎症性サイトカイン(マイオカイン)産生上昇が示唆されており、その主な背景の一つとして、閉経、更年期に伴う性ホルモンの低下によるAR、ERを介したトランスリプレッション、抗炎症作用の減弱が考えられる。骨格筋量低下を表現型として呈する事が知られている性腺摘除マウス(精巣摘除後(ORX)マウス、卵巣摘除後(OVX)マウス)、後肢懸垂マウス、AR欠損マウス(Sato T et al. Biochem Biophys Res Commun. 2003)について、骨格筋重量、四肢筋力、筋断面積、骨格筋繊維組成(type I繊維/type II繊維)、サイトカイン・老化・アポトーシス・筋分化関連遺伝子、血中サイトカイン濃度について筋力計、Force transducer、ELISA、免疫染色、real-time PCR、Western blot、SA-β-gal染色等を用いて解析し、各モデルマウスにおける骨格筋量、筋繊維組成と炎症・細胞老化レベルとの関連性を解析する。また、これらのモデルマウスにビタミンD、テストステロン、エストロゲンをそれぞれ投与(0.1 ug/kg/日x 14日間)した際の抗炎症効果、筋量、筋力改善効果について上記指標を中心に比較検討し、in vivoにおける核内受容体トランスリプレッションの存在、リガンド特異的作用について実証する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究の遂行にあたっては、培養細胞系、疾患・老化モデルマウスを用いた分子生物学的、細胞生物学的アプローチが主体であり、研究経費のほとんどが消耗品購入に費やされる。平成25年度は、培養細胞実験および疾患・老化モデル動物を用いた動物実験を中心に行う予定であり、そのために必要な細胞実験用試薬に加えて、マウス投与実験用の試薬購入を行う予定である。その他、抗体、培養用実験器具、実験用動物、動物用飼料、病理標本製作代、定量的PCR用プライマー、siRNA、各種クローニングの購入・作成費用についても予定している。
|