研究課題/領域番号 |
24590877
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
江頭 正人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80282630)
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研究分担者 |
飯島 勝矢 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 准教授 (00334384)
大田 秀隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20431869)
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キーワード | 異所性脂肪 / サルコペニア |
研究概要 |
サルコペニアを呈する骨格筋組織においては、異所性の脂肪蓄積が特徴的に認められ、インスリン抵抗性をしめすことが知られているが、その制御機構は必ずしも明らかになっているとはいい難い。平成24年度に本プロジェクトにおいて、C2C12培養骨格筋細胞に対して、パルミチン酸を添加することにより、脂肪滴形成が生じるとともに細胞レベルでのインスリン抵抗性(インスリン刺激によるAktリン酸化上昇レベルが抑制される)が誘導されることを明らかにした。本年は、骨格筋細胞におけるSirt-1発現について検討するとともにその生理学的、病理学的役割についても検討をくわえた。C2C12に対するパルミチン酸添加は、Sirt-1発現レベルには影響を及ぼさなかった。そこで、Sirt-1の発現レベルを上昇させる因子を探索的に検討したところ、イソプロテレノールによる交感神経ベータ受容体刺激では、効果が認められなかったが、骨格筋に対する効果が知られているビタミンD3の添加によりSirt-1発現レベルが増加した。ビタミンD3添加により、パルミチン酸による細胞レベルでのインスリン抵抗性は改善が認められた。また、C2C12細胞において、ビタミンD受容体が発現していること、またイソプロテレノール刺激によりビタミンD受容体の発現が上昇することも明らかになった。選択的ベータ2受容体刺激薬や受容体拮抗薬をもちいた検討により、ビタミンD受容体の発現制御には、交感神経ベータ2受容体が関与していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養骨格筋細胞におけるSirt-1の発現について様々な検討をおこない、ビタミンD3によってSirt-1発現が上昇する可能性を示唆する結果をえたことから、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
パルミチン酸添加による骨格筋細胞のインスリン抵抗性に対し、ビタミンD3投与によりインスリン抵抗性が改善すること、Sirt-1発現が上昇することを明らかにした。今後は、ビタミンD3の代謝改善作用にSirt-1がどのように関わっているのか、そのメカニズムについて、細胞レベルとともに個体レベルにおいても検討をくわえる。
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次年度の研究費の使用計画 |
H25年度に計画していた動物実験の施行がおくれたため、次年度使用額が生じた。 培養細胞をもちいた検討にくわえて、動物実験をおこない、個体レベルでの検証をおこなう。
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