研究課題/領域番号 |
24590883
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有光 潤介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60457009)
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研究分担者 |
岸田 友紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20423163)
萩原 圭祐 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60423183)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大建中湯 / 漢方 |
研究概要 |
我々は、平成20年度科研費で行った研究「NSAIDs起因性小腸潰瘍に対する大建中湯の予防効果の検討」において、大建中湯が、血清のIL-17, TNF-αといった炎症性サイトカインを有意に抑制させ、カプセル内視鏡において小腸の炎症所見を改善することをヒトにおいて明らかにしている(投稿準備中)。その作用機序として、2つの仮説が考えられる。①大建中湯が、腸内細菌叢を変化させて、関節的に腸管の免疫系細胞に影響を与える、②大建中湯に含まれる生薬成分が直接的に腸管の免疫系細胞に影響を与える。この仮説を検証するために、腸炎モデルマウスを使い、大建中湯の腸管免疫系への関与を検討し、大建中湯の作用機序を明らかにすることを目的とする。 平成24年度は、その予備実験として、大建中湯の最適な用量、投与方法の検討を行った。 DSS誘発性炎症性腸疾患モデルでは、大建中湯の腸管粘膜に対しての直接作用を検討する。現在のところ、今までの論文を参考にマウスのえさに4%大建中湯を混ぜ経口投与を行った。DSSを投与して4日目まではDSS+大建中湯投与群が、DSS単独投与に比べて体重が減少する状態であった。しかし5日目、6日目でDSS+大建中湯投与群の体重が回復したのに対して、DSS単独投与群では体重が減少していた。また、血便スコアがDSS+大建中湯投与群のほうがDSS単独投与群に低めに出ているが、有意差は認めない。 便も経時的に保存しており、現在メタゲノムを使った便中の腸内細菌叢の変化を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
使用マウス:Balb/c系雌性マウスを以下の3群に分ける。グループ1:Normal 群(水道水を自由飲水、n=5)。グループ2:(5% DSS 液を自由飲水、n=5)3日前から大建中湯(1g/kg)を経口投与する。グループ3:(5% DSS 液を自由飲水、n=5)3日後から大建中湯(1g/kg)を経口投与する以上を6日間投与。各群を8週間飼育した後、麻酔下で屠殺し検討することは行った。DSS+大建中湯投与群の体重が回復したのに対して、DSS単独投与群では体重が減少していたことから、大建中湯が、腸炎モデルマウスに対して腸管免疫系への関与していることは明らかにしたが、腸管のリンパ球解析ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
①大建中湯が、腸内細菌叢を変化させて、関節的に腸管の免疫系細胞に影響を与える、②大建中湯に含まれる生薬成分が直接的に腸管の免疫系細胞に影響を与える。この仮説を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度に検討したそれぞれのモデルについて、無菌特殊環境 (Germ free)で検討を行う。無菌特殊環境で、大建中湯の作用が増強するのかどうか。もしくは特定の菌属を移植した場合に、その作用が増強するのかどうかを検討する。また、その際のT細胞分化の影響を同時に検討する
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