研究実績の概要 |
我々は,家族性AD家系においてAPP遺伝子異常(D678N)を発見し報告した(J Neurol Neurosurg Psychiatry. 75(7):1039-42,2004).このAPP変異はアミロイドβ(Aβ)内部に遺伝子変異を有するため,野生型Aβとともに変異型Aβが蓄積する特異な病態が想定されている.この遺伝子変異を有する患者2症例の剖検脳を病理学的に検討したところ,病理学的にもアルツハイマー病と確定診断され,本遺伝子は家族性アルツハイマー病の原因遺伝子であることを確定した. 本研究においては,同APP遺伝子変異を有する患者由来の剖検脳や病理標本を用いて,特異な変異Aβの蓄積機構を解明する事を目的としており,変異Aβ蓄積が病気発症を来すメカニズムを解明することでアルツハイマー病の発症機構に新たな知見を与え,治療薬開 発に有意義と思われる. 本年度において,脳実質内や血管内へ蓄積するAβが如何なる分子種から構成されているか蓄積しているアミロイドβ分子種をELISA法での定量を試み,生化学的に蓄積に関する因子を検討した.
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