研究課題/領域番号 |
24590886
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
住吉 真帆 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60444767)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 食事中脂質 / 腎障害 / 糖尿病 |
研究概要 |
糖尿病性腎症の発症リスクへ及ぼす食事中脂質の影響を検討するために、糖尿病マウスへ高脂肪食を負荷し、腎臓への影響、特にその症状の進行に対する影響を明らかにすることを目的として研究を計画・実施した。 自然発症II型糖尿病マウス(NSYマウス)へコントロール食および高脂肪食(60%脂質)を自由摂取させて25週間飼育した。糖尿病の発症・進行の指標として5週間ごとに経口糖負荷試験(OGTT)、試験紙による尿糖の定性および尿中アルブミン量を測定した。高脂肪食群の体重は食事負荷1週間で有意に増加し、その後もコントロール食群と比較して著しい体重増加を示した。また、高脂肪食群ではOGTTにおいてもコントロール食群と比較して空腹時の血糖値の上昇、耐糖能異常が観察された。さらに8~9週目には高脂肪食群の尿量の増加が見られ、尿糖も陽性(+3~+4)であり、尿中のアルブミン量も上昇していた。一方コントロール食群では25週目でも尿糖は(±)であった。NSYマウスはICRマウスから樹立された自然発症II型糖尿病マウスであるため、ICRマウスの血糖値や耐糖能を正常マウスとして、NSYマウスコントロール食群の血糖値や耐糖能について比較検討すると、高脂肪食群よりも軽度であるが、コントロール食群の空腹時血糖は上昇しており、耐糖能異常も見られた。 以上のように、高脂肪食は糖尿病を自然発症するNSYマウスにおいて、血糖値や尿糖に影響を及ぼし、糖尿病の進行を早めた。この実験モデルでは食事負荷によってその病態の進行に著しい差異が認められ、本研究の目的を達するのに有用なモデルであると考えられた。今後、採取した試料を用いてさらに検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の研究計画では、食事負荷試験の実施とその試料の処理までを予定しており、ほぼ予定通りに研究を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
食事負荷試験後に腎臓の病理切片を作製した。これを用いて血管基底膜や細胞外貴基質の変化について解析し、その結果に影響すると考えられる因子について、免疫組織染色を行う。肝臓・脂肪組織についても病理切片を作製し、病態に影響を及ぼす変化が見られれば同様に解析を行う。 II型糖尿病の自然発症を早め、症状の悪化を誘導する因子や、腎障害に関与する因子について、酵素活性、蛋白量などを検討し、高脂肪食負荷の影響を明らかにする。また必要があればマイクロアレイ解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は若干の遅れがあり、研究費の次年度への繰り越しがあった。 次年度は、平成24年度の繰り越し分を含めて、申請通り、研究遂行に必要な試薬・器具の購入、機器の使用料、研究成果発表に使用する計画である。
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