研究課題/領域番号 |
24590891
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
浅川 明弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10452947)
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研究分担者 |
藤宮 峯子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10199359)
堀内 正久 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50264403)
網谷 東方 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70535674)
乾 明夫 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80168418)
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キーワード | 終末期 / 癌性悪液質 / 老化 / サルコペニア / アシルグレリン / デスアシルグレリン / 漢方 |
研究概要 |
実験動物として担癌(BALB/c大腸癌colon26移植)マウスと非担癌マウス、老化促進(α-Klothoノックアウト)マウスとwildマウス、グレリンノックアウトマウスとwildマウスを用いた。担癌マウスにおいて摂食量、筋重量、握力の低下、生存日数の短縮、血中のアシルグレリン/総グレリン比、アディポネクチンの低下、コルチコステロンの上昇などを認めた。大腸癌移植後の11、16日目の長趾伸筋、ヒラメ筋、腓腹筋において筋委縮系、合成系、小胞体ストレス、オートファジーのマーカーの発現検討において、myostatin、atrogin-1、MuRF、Cbl-b などの上昇、IGF-1の減少を認めた。大腸癌移植後の9日目のオープンフィールド試験においては、非担癌マウスに比べ、行動、行動量、糞便個数に差はなかったが、移植後の14、15日目の24時間活動量は明期、暗期ともに減少した。また非担癌マウスに対してのアシルグレリンの腹腔内投与が、lipopolysaccharide(LPS)の摂食抑制作用を減弱させた。さらに、グレリンノックアウトマウスにおいてはLPSの摂食抑制作用の増強が認められた。老化促進マウスにおいては、生存日数の短縮、血中の糖、インスリン、アシルグレリン/デスアシルグレリン比の低下、コルチコステロンの上昇を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
担癌(BALB/c大腸癌colon26移植)マウスと老化促進(α-Klothoノックアウト)マウスを用いて、マウスの癌性悪液質、老化の終末期における生存日数、摂食量、飲水量などの表現形、血中のデスアシルグレリンに対するアシルグレリンの相対的な低下、骨格筋における委縮系の発現亢進と合成系の発現低下が確認された。また、アシルグレリンの投与が、サイトカインによって引き起こされた食欲低下の改善に有効である可能性が確認された。これらにより、罹癌、加齢の終末期の病態改善のために、アシルグレリンの補充、アシルグレリン受容体の感受性の増強が、病態の改善に有効である可能性が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降においても、実験動物として雄性の担癌(BALB/c大腸癌colon26移植)マウス、老化促進(α-Klothoノックアウト)マウス、およびグレリンノックアウトマウスを用いる。アシルグレリン、[D-Lys(3)]-GHRP-6を腹腔内投与、六君子湯、及びその構成生薬の棗朮、陳皮及びその成分のヘスペリジン、アトラクチロジンを経口投与し、投与後の摂食量、飲水量、体重、活動量、体組成の変化、高架式十字迷路試験、オープンフィールド試験、生存日数の記録を行う。
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