研究課題
基盤研究(C)
シトリン欠損症は、SLC25A13を病因遺伝子とする劣性遺伝性先天代謝異常症である。これまでの臨床的観察ならびに疾患モデルマウスを用いた実験結果から、シトリン欠損症では糖質摂取によって食欲が低下し摂食できなくなることは明らかである。しかし、食欲低下作用の分子機構は未だ解明されていない。そこで、疾患モデルマウスの行動解析を行い、食行動を中心に脳内メカニズムを解明し、一部明らかにされつつある食欲低下を改善する栄養素、さらに食欲不振を解消する物質の作用機構を解明し、シトリン欠損症の発症予防・QOL改善に資することを目的とする。本年度は、行動解析に用いるマウスの匹数を十分に供給することが困難だった。行動解析の方法確立・RNA抽出法・cDNA合成法・RT-PCR条件(プライマー・設定など)を検討した。1.本モデルマウス(citirn/mGPDH-KO)は、mGPDH-KO(mGPDH-/-)の背景をもつcitrin+/-マウスの交配によって得られ、別に交配で作出する野生型wildとcitrin-KOの系と合わせ、実験には4種のマウスを用い比較検討する。モデルマウス作成のために系統維持しているマウスの産出数を得ることが困難だったため、交配・出産の飼育環境などを見直した。平成24年度後半より繁殖能力のあるcitrin+/-マウスを得ることができた。2.行動解析:活動性テスト(home-cage activity test) 、代謝ケージ内での酸素消費量測定法を検討し予備実験を行った。3.食欲調節メカニズムの解析:RT-PCR法で比較する遺伝子の選択、条件設定を行った。
3: やや遅れている
本年度は、行動解析に用いるマウスの匹数を十分に供給することが困難だった。本モデルマウス(citirn/mGPDH-KO)は、mGPDH-KO(mGPDH-/-)の背景をもつcitrin+/-マウスの交配によって得られ、別に交配で作出する野生型wildとcitrin-KOの系と合わせ、実験には4種のマウスを用い比較検討している。昨年度後半に動物実験施設飼育室内において、肺パスツレラ汚染があり、交配できない期間 生じた。そのため老齢マウスが増え、モデルマウス作成のために系統維持しているマウスの産出数を得ることが困難だったため、交配・出産の飼育環境などを見直した。平成24年度後半より繁殖能力のあるcitrin+/-マウスを得ることができた。
平成24年度に引き続き、行動解析・食欲調節機構解析を行う。通常の固形食(CE-2)投与時について4種のマウス間での比較を行う。①基本的食行動と摂食量の解析:摂食時・絶食後再摂食時の摂食量・飲水量・体重変化を測定する。4種マウス間での血中の食欲関連ホルモン(LeptinとGhrelin)変化を検討する。②エネルギー代謝:代謝ケージ内での酸素消費量を測定する。③行動解析:不安等の情動、認知・学習に及ぼす影響を解析する。自発行動量の測定 ホームケージ活動性テスト・ビデオ画像の観察(採餌・採水など)を比較する。④食欲調節機構解析:食欲調節メカニズムを解明するため、視床下部での食欲調節ペプチドの遺伝子発現(RT-PCR法)を4種のマウス間で比較検討する。
該当なし
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Mol Genet Metab.
巻: 107(3) ページ: 322-329
10.1016/j.ymgme.2012.07.021