循環器疾患でのサルコペニアの合併を検討し、サルコペニアの存在や重症度が循環器疾患の罹患に関与しているかどうかを調査した。頻度の高い循環器疾患である慢性心不全や虚血性心疾患の重症化や心血管イベントの発生が、サルコペニアの進展に与える影響について観察している。心血管イベントとサルコペニアの関係の検討は観察期間が短いために今後継続していく必要がある。また、高齢者の転倒に関連することから大きな社会的な問題になりつつある高血圧合併低血圧症(血圧動揺・変動)とサルコペニアの関連を検討した。さらに、高齢者への運動リハビリテーション介入、薬物療法の影響を観察した。 実験的には、遺伝子改変動脈硬化マウスで加齢モデルを作成し、動脈硬化やAngiotensin II等とサルコペニアの病態を検討した。特に、酸化・抗酸化関連遺伝子を中心に解析し、独自に作製したヘムオキシゲナーゼ(HO)とLDLレセプターのダブルノックアウトマウスを用いて、血管壁での遺伝子発現の変化を観察し、動脈硬化、血管内皮機能、血管壁局所の炎症への影響を検討した。
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