研究課題/領域番号 |
24590895
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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研究分担者 |
羽野 卓三 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90156381)
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
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キーワード | 神経解剖学 / c-Fos / ストレス / 圧受容体反射 |
研究概要 |
本年度の目標は、大動脈神経と頸動脈洞神経を外科的に破壊(除神経)して、圧受容体反射をなくした動物を作成し、c-Fos発現を脳内で隈無く精査し、ストレス応答の神経回路の変化を検討し、交感神経系への出力低下と迷走神経への出力増加の責任領域を解明することである。用いたのは、除神経群、偽手術群、除神経+ストレス群、偽手術+ストレス群で、それぞれ6匹の計24匹である。大動脈神経と頸動脈洞神経の除神経術(対照群は偽手術)を行い、手術からの回復期間(1週間)後、覚醒、無麻酔下に不動化ストレスを行った。心電図でST上昇の程度をモニターしつつ、1時間後にネンブタール(100mg/kg,ip)の深い麻酔下で開胸し、還流固定後、脳を摘出し、連続切片を作成し、抗c-Fos抗体(AB-5,polyclonal,immunized with rabbit,Oncogene)で染色し、顕微鏡で詳細に検討した。 ストレス負荷で有意な変化が認められた領域は、梨状葉、視床室傍核(前部)、視床下部室傍核、視床下部背内側核、扁桃体内側核、中心内側視床核、不確帯、視床下部腹内側核、後部視床下部、背側縫線核、青斑核、吻側腹側外側網様核、淡蒼縫線核、最後野、孤束核最後野、孤束核閂、尾側腹側外側網様核であり、過去の研究結果と一致した。 一方、除神経で有意な変化を認めたのは不確帯と淡蒼縫線核であった。不確帯では、偽手術群では、ストレス負荷でc-Fosは減少したが、除神経では、ストレス負荷で増加した。淡蒼縫線核では、ストレス負荷でc-Fosは変化しなかったが、除神経では、ストレス負荷で増加した。不確帯には、分界条床核からの入力があるとされ、淡蒼縫線核はセロトニン神経がある。これらが、圧受容体反射遮断後のストレス反応の増強に関与すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、25年度の神経解剖学的検討ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回の検討で、不確体、淡蒼縫線核が責任領域として抽出された。ここへの入力、出力の神経解剖学的検討が必要である。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度からの物品に在庫があったため、当該年度の補充が少なかった。 在庫が少なくなり次第、補充する予定である。発表や情報収集、論文投稿の諸費用がより必要になる。
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