研究課題/領域番号 |
24590898
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
新井 康通 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20255467)
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研究分担者 |
広瀬 信義 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90142421)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 老化 / テロメア長 / 百寿者 / 酸化ストレス / 国際情報交換 |
研究概要 |
平成24年度はA 110歳以上22名、B 105-109歳 387名、C 100-104歳 274名、D 85-99歳 540名 E 100高齢者家族 320名の合計1600名からDNAサンプルを抽出し、共同研究先であるニューカッスル大学加齢医学研究所に輸送した。現在、RT-PCRによるテロメア長の測定が進められている。末梢血テロメア長と加齢関連疾患とくに心血管疾患との関連は多くの疫学調査で検討されているが、人の長寿との関連はこれまで98名の100歳高齢者で検討されているのみで、今回の症例数はこれをはるかに上回る規模となった。これらのサンプリング方法、110歳以上の超百寿者の生物学的特徴をまとめ論文として投稿中(リバイス中)である。 酸化ストレスは加齢とともに増加し、さらにテロメア長に影響する。そのため老化とテロメア長の関連の交絡因子となる可能性があり、尿中8-OHdG,尿中8-イソプロスタン等の酸化ストレスマーカー、炎症性サイトカインの測定も行っている。さらに85歳超高齢者群では3年間の総死亡、死因別死亡、介護施設入所率のほか、認知機能の低下、ADL低下、頸動脈硬化の進展などの測定を行い、これらの加齢に伴う病理とテロメア長の関連を検討するためのデータベースを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、超百寿者をふくむ検体のサンプリングには1年以上かかると予測していたが、ほぼ8か月で目標数の採血、DNAの抽出が終了し、すでにニューカッスル大学にサンプルを供与することができた。予定よりも順調にすすんだといえる。一方、酸化ストレスマーカー、炎症性サイトカインの測定についてはやや遅れており、平成25年度以降にピッチを上げて測定する予定である。また、サンプリングが終了したことにより、英文論文1本を投稿、国際学会シンポジウムでも課題採択されるなど高い評価を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
1)本研究課題のもっとも重要な部分である超百寿者、百寿者、超高齢者のDNAサンプリングが完了したということで、今後はテロメア長の測定、酸化ストレスマーカー、炎症マーカーの測定、統計解析に焦点が移る。現在、ニューカッスル大学で末梢血テロメア長が測定中であり、6月の国際老年学会までには測定が終了し、この会議期間に英国側共同研究者と今後の解析の方向をディスカッションする予定である。 2)百歳高齢者、85歳高齢者の血中酸化ストレスマーカー、炎症性サイトカインを測定し、テロメア長が加齢そのものに影響されるのか、加齢に伴って増加する酸化ストレス、慢性炎症によって増加するのか、検討する。 3)平成25年度中には100歳高齢者の10年間の生命予後、85歳高齢者の3年間の生命予後データベースが完成するため、テロメア長が高齢者の生命予後の指標となるか、縦断的な検討を行う。 4)すでに百寿者300名の遺伝子解析(GWAS)が完了しており、これらの遺伝情報をもとにテロメア長短縮にかかわる遺伝子(群)の同定も視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)消耗品費(interleukin 6 ELISA kit, TNF-a ELISA kit 他) 600,000 2)人件費 interleukin 6等の測定補助費 360,000 (週日、2か月) 3)旅費 国際老年学会、国際百寿者研究会(韓国、ソウル) 120,000 4)英文添削費 論文2本 100,000 試薬代、英文論文添削費が年度をまたがったため、次年度繰越金が発生した。
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