• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

鍼刺激によるパクリタキセル副作用の軽減効果

研究課題

研究課題/領域番号 24590899
研究種目

基盤研究(C)

研究機関昭和大学

研究代表者

石川 慎太郎  昭和大学, 医学部, 助教 (70439355)

研究分担者 久光 正  昭和大学, 医学部, 教授 (20167604)
砂川 正隆  昭和大学, 医学部, 准教授 (20514467)
中西 孝子  昭和大学, 医学部, 准教授 (00175499)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード鍼 / 抗癌剤副作用 / しびれ / 神経科学 / トランスレーショナルリサーチ
研究概要

【目的】パクリタキセル(抗癌剤)は乳ガンなどの悪性腫瘍に対して大変期待されている化学療法の一つである。その一方で副作用として手足のしびれをはじめとする“末梢神経障害”が高頻度に生じる。この神経症状は極めて主観的で個人差が大きいことから、対応が不十分かつ遅延することが多く、有効な対処法の確立が望まれている。そこで鎮痛作用や自律神経機能調節作用があるといわれる鍼療法を抗癌剤による末梢神経障害に対して応用し、その効果を検討した。
【方法】本年度は、第一にパクリタキセルによる末梢神経障害モデルの作製と客観的評価法の確立を目標に観察を行った。パクリタキセルを5週齢の雄Wistar 系ラットの腹腔内に注射した末梢神経障害モデルを作製した。末梢神経障害の評価として動物行動試験を選択し、運動強調性検査(プラットホーム法)で運動遂行能力を、熱痛逃避反応検査(UGO BASILE Plantar Test 法)で神経過敏性(アロディニア)を観察した。パクリタキセル投与と並行して足三里(ST-36)へ鍼刺激を施行し、坐骨神経における末梢神経障害の出現を比較した。また同動物から末梢神経を採取した。
【結果】神経障害モデルが再現性をもって作製できるようになり、実験群間で行動試験における観察を確立し、現在も観察を続けている。また採取した末梢神経の形態(免疫染色)および生化学的検査(βTubulin)も同様に継続中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

パクリタキセルによる末梢神経障害の発現、動物行動試験、試料の採取、組織およびターゲットとしているタンパク質の観察などにおいて再現性をもって推敲できている。但し、脊髄のc-fos およびmicrogliaの出現に関してはサンプルの採取と最適な検査一の確立には至っておらず、今後検討の余地が残されている。

今後の研究の推進方策

【平成25 年度 研究計画】
24 年度に得られた結果を基に研究を進め、鍼のより有効な利用方法を探る予定である。末梢神経障害モデルは5-8週齢の雄Wistar 系ラットを用い、パクリタキセルを腹腔内に注射して作製する。末梢神経障害の評価として、動物行動試験には、運動強調性検査(プラットホーム法)、アロディニアに対する熱痛逃避反応検査(UGO BASILE Plantar Test 法)を採用する予定である[担当:石川・久光]。また組織学的に末梢神経障害を評価する目的で、損傷神経のトルイジンブルー染色、軸索内微小管のβチューブリンの免疫染色により組織学的変化を確認する。また末梢神経障害時にともなう脊髄内変化の観察として損傷神経脊髄レベルでのc-fos およびミクログリアの組織・機能学的変化を確認する[担当:砂川]。さらに損傷神経軸索のβチューブリン量をウエスタンブロッド法により定量する[担当:中西]。
異なる濃度のパクリタキセル投与によりグレードの異なる末梢神経障害モデル作製し、鍼治療の効果を検討する。また鍼治療の有効な開始時期、治療間隔、刺激部位を変えて検討を進める予定である[担当:石川・久光]。

次年度の研究費の使用計画

昨年、確立できなかった脊髄の組織的観察を中心に検討を進め、鍼刺激の影響を観察するとともに、パクリタキセルの投与濃度法を変えることによるグレードの異なる末梢神経障害の発症を目指し、動物モデルの作製も並行して行い、鍼刺激の有効性の検討を進めていく。この目的遂行のための動物の購入と分析に必要な抗体およびPCRプライマーなどに研究費を充てる予定である。これまでの結果を学会等で発信する予定である。

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi