研究実績の概要 |
炎症は老化を推進する重要な機構である。老化と炎症の解析を目的に、健常者0歳から100歳までの217名、遺伝的老化モデルである遺伝子変異が確認されたウエルナー症候群41名の血清中の高感度CRPが、正常加齢で有意に相関して増加し、ウエルナー症候群では、加齢とは関係なく、同年齢の健常対照群の10倍程度の増加を示すことを報告した(M.Goto et al. Exp. Gerontol. 47(2012) 936-939).その結果を踏まえ、同じ試料で、加齢、炎症と相関する26種類のサイトカインをBio-Plex Multiplex array systemを用い、同時測定した。 健常人では、加齢に従って、有意にIL-4,6,13,15,GM-CSF,IFN-γ,IP-10,TNFαが増加し、高感度CRPと有意に相関するサイトカイン/ケモカインは、IL-6,13,15,IP-10であった。加齢ならびに、高感度CRPと同時に相関するサイトカインは、IL-6とIL-13のみであった(M.Goto.J. J. Gerontol.2015,1(2):010) ウエルナー症候群では、同年齢対照群と比べ、加齢とは無関係にIL-4,6,10,GM-CSF,IL-2,TNFα,IL-12,IFNγ,MCP-1,basic FGF,G-CSFの増加が認められた。高感度CRPならびに、加齢を考慮すると、IL-6,12,VEGFが、有意に相関した。健常者加齢、ならびにウエルナー症候群で、炎症が増加し、共通の背景として、TH2への偏移が想定された(M.Goto. Intrac Rare Dis. Res. 4(2015) 190-197)。 最終年度は、共通の炎症惹起機構としてEBウイルス測定をし、論文作成中である。また、今年初めには、ロンドンでのAgeing2016に招待され、以上の成果を講演した。
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