研究課題/領域番号 |
24590903
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
岡田 尚志郎 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40203989)
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キーワード | 視床下部室傍核 / トロンボキサンA2 / PPARγ / 血中カテコラミン / 拘束ストレス |
研究概要 |
ストレス応答の異常あるいは破綻が、うつ病・不安障害・自律神経機能障害をはじめとするストレス関連疾患の発症に関与すると推測されている。視床下部室傍核はストレス応答の制御中枢の一つであり、副腎髄質からのカテコラミン分泌を調節することによって、脳神経細胞へのブドウ糖取り込みにも関与すると考えられている。我々は麻酔ラットの視床下部室傍核において産生されるトロンボキサンA2 (TxA2)が、副腎髄質からのカテコラミン分泌を促進し、ストレス応答の脳内メディエーターとして作用していることを明らかにしてきた。しかし、視床下部室傍核で産生されるTxA2の脳神経細胞へのブドウ糖取り込み調節における詳細な役割については明らかではない。急性拘束ストレスラット(±5% ブドウ糖静脈内投与:ストレス負荷後0、2、4、6時間)の視床下部をブロックとして取り出し、(1)TxA2の組織含量の定量(2)タンパク質抽出液を調製し、COX1,2、TxS、NF kappa B、PPAR γのタンパク質レベルの変化をWestern blotにより解析し、いずれのファクターも増加する方向で、一定の傾向を認めたが、視床下部の摘出にバラツキがあり、相当数のNを増やすための実験を計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今期は異動先で新たに立ち上げた実験系による実験成績の再現性が確認できたことから、概ね順調に進行したと考えている。またLC/MSによるダイアリシスサンプル中のプロスタノイド一斉分析の系も可能となり、実験手技に幅が増えた。
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今後の研究の推進方策 |
最近我々は急性拘束ストレスラット視床下部室傍核のpresympathetic neuronにおいて、COX1、COX2および誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)発現が増加することを見いだし、COX1、COX2およびiNOSが急性拘束ストレスによる交感神経活性化に関与することを報告した。これらの酵素発現とPPARγは密接な関係にあると予想される。そこで急性拘束ストレスラットの視床下部室傍核におけるPPARγの局在を免疫組織化学法により形態学的に解析する。ニューロンの標識としてNeuNを、アストログリアの標識としてGFAPを使用し、PPARγとの二重染色を行う。さらに、これらの標識された細胞におけるTxS発現を検討する。また、Western blot の予備実験で、拘束ストレス(RS)によって、PPARγが経時的に核内へ移行することを見いだしており、PPARγの核および細胞質の局在の経時的変化もあわせて検討する。ブドウ糖は脳神経細胞のほぼ唯一のエネルギー源であり、その供給は脳内貯蔵グリコーゲンの分解/合成によって制御されていると考えられている。しかしグリコーゲン合成酵素は脳内でも検出されているが、拘束ストレスによる影響はほとんど知られていない。そこで、まず無拘束ラットの視床下部室傍核における神経細胞あるいはアストログリア(あるいはミクログリア)のグリコーゲン貯蔵レベルをPAS染色で調べ、次に拘束ストレスによる影響を検討する。グリコーゲン合成酵素の発現動態もあわせて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品を買う予定であったが、締め切りに間に合わなかった 今年度研究に使用する消耗品の購入にあてる
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