研究課題/領域番号 |
24590905
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研究機関 | 関西医療大学 |
研究代表者 |
木村 研一 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (50353040)
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研究分担者 |
田島 文博 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00227076)
石田 和也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (70398460)
高橋 紀代 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80296714)
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キーワード | 鍼 / 筋交感神経活動 / 下肢血流 / 血圧 |
研究概要 |
本年度はマイクロニューログラフィーを用いて下腿の足三里穴(ST36)への鍼刺激が安静時の筋交感神経活動(muscle sympathetic nerve activity:MSNA)および循環動態に与える影響について偽鍼と比較検討した。対象は健康成人男性7名とし、被験者は安静仰臥位にてマイクロニューログラフィーを用いて右腓骨神経のMSNAを導出した。導出されたMSNAの原波形は500-2000Hzのバンドバス・フィルターを通した後、アナログ積分器を介して全波整流積分し、積分波形として観察した。MSNAの原波形と積分波形はAD変換ボードを介してon-lineでコンピュータに連続記録し、同時にサーマルアレイ・レコーダー (NEC, Omniace II RA1300)で描記した。同時にカフにて血圧と心拍数を測定した。MSNAについては積分波形の1分間のバースト数(burst rate)と1分間のバースト数× 1分間の平均バースト振幅 (total MSNA)を解析した。鍼刺激のプロトコールはプロトコール1と同様とした。測定は10分間安静後、左足三里穴(ST36)に鍼刺激を15分間行い、鍼刺激後は20分間、安静とした。偽鍼は同一被験者を対象に一週間以上の間隔を空けてランダムに行った。結果、足三里穴(ST36)への鍼刺激ではMSNAのburst rateおよびtotal MSNAは偽鍼と比較して有意差を認めなかったが、収縮期血圧は鍼刺激で偽鍼に比べて、有意差を認めた(P<0.05)。結論として安静時において足三里穴(ST36)への鍼治療はMSNAに影響を及ぼさなかった。しかしながら、収縮期血圧を軽度、低下させたことより、足三里穴への鍼治療による血圧の低下はMSNAの減弱によるものではないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度は交付申請書の研究実施計画に従ってプロトコール2を行った。プロトコール2では安静時における足三里(ST36)への鍼刺激による筋交感神経活動(muscle sympathetic nerve activity:MSNA)への影響を偽鍼と比較検討した。その結果、安静時においては鍼刺激、偽鍼ともにMSNAのburst rateやTotal MSNAの有意な変化は認めなかった。現在までは交付申請書の研究実施計画に従って研究が遂行され、25年度の研究の目的は達成できている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はプロトコール3を行う。プロトコール3ではMSNAが亢進している状態での鍼刺激の影響を検討するために局所冷却(アイスパック)によるMSNAの増加反応を足三里穴(ST36)への鍼刺激が抑制するかを明らかにする。被験者はプロトコール2と同様にマイクロニューログラフィーを用いて右腓骨神経のMSNAを測定し、同時に局所冷却部の皮膚温、心電図、左側の上腕部よりカフにより血圧を測定する。プロトコール3では安静10分間の後、右側の下腿にアイスパックを20分間施行する。アイスパック開始後に左側の足三里穴(ST36)に鍼刺激を15分間、行う。鍼刺激後は20分間安静とする。プロトコール3ではアイスパックによるMSNAの増加反応に対する足三里穴(ST36)の鍼刺激による影響を偽鍼と比較検討する。
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