関節拘縮の病態についての組織学的な報告は散見されるものの、分子レベルでの検討はほとんど行われていない。そこで関節不動化モデル動物をもちいて組織学的に検討したところ、関節可動域制限の進展に伴い、滑膜の線維化も進展していくこと、またこの際低酸素状態で発現が上昇するHIF1-αの転写活性や線維化関連因子の発現が著しく上昇することが明らかとなった。さらにdecoy核酸医薬をもちいてHIF1-α活性を抑制したところ、線維化関連因子の発現、関節拘縮の進展が明らかに抑制された。以上のことからHIF1-αを中心とした線維化関連因子の発現が、関節拘縮の病態進展に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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