研究課題/領域番号 |
24590908
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研究機関 | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
中村 昭範 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能画像診断開発部, 室長 (00237380)
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研究分担者 |
加藤 隆司 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能画像診断開発部, 室長 (60242864)
新畑 豊 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 脳機能診療部, 医長 (80501212)
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キーワード | アルツハイマー型認知症 / 早期診断 / アミロイド / PET / 脳磁図 / 体性感覚回復曲線 / 皮質興奮性 / 軽度認知障害 |
研究概要 |
本研究の目的は、脳の神経ネットワークやシナプス機能の変化を鋭敏に捉える事のできる脳磁図を用い、PiB-PET によるアミロイドイメージングと組み合わせることによって、アルツハイマー病(AD)の早期診断、特に認知症発症前の軽度認知障害(MCI)の段階や、更には臨床症状がまだない前臨床段階での診断に役立つ機能的バイオマーカーを明らかにしていくことである。 前年度の研究で、正中神経のペア刺激による脳磁図誘発反応の回復曲線(SEF-R)を用いて大脳皮質の興奮性を評価したところ、MCIの段階から体性感覚野皮質の興奮性が高まっていることが明らかとなった。本年度はこの皮質興奮性の変化と脳内アミロイド沈着がどのように関連しているのかを明らかにする目的で、AD7名、MCI12名、健常高齢者(NC)33名を対象にPiB-PETと脳磁図検査を行い検討した。SEF-Rは、右正中神経に刺激間隔(ISI)の短い2連発電気刺激を与え、ISIを30,60,90,120,150 msの5段階でランダムに変化させながら誘発反応を測定、1発目の刺激に対する反応(R1)と、2発目に対する反応(R2)の振幅比(R2/R1)を求めて評価した。その結果、PiB-PETは、ADの全例(7/7),MCIの半数(6/12),NCの約2割(7/33)でアミロイド蓄積が陽性であった。SEF-Rは、ISIが90 msの時R2/R1が約1になるような回復曲線が得られたが、AD及びアミロイド陽性のMCI群ではこの値がNC群よりも有意に大きく、一次体性感覚野の興奮性が増大していることが示された。このR2/R1値とPiB-PET SUVR画像との相関をSPM8を用いて検討したところ、両側の一次運動感覚野のPiB集積度は、R2/R1値と有意な正の相関があることが示された。今回の結果は局所のアミロイド蓄積がその部位の皮質の電気的興奮性を高めることを示すもので、ADの治療モニタリングの候補のひとつと期待されるだけでなく、ADの病態生理を把握する上でも重要な知見であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳磁図を用いて評価した大脳皮質の興奮性が、局所のアミロイド沈着と関連があることを示唆する重要な知見が得られ、ADの治療モニタリングの候補のひとつとしても期待できることが示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
エビデンスレベルを高めるために、更にn数を増やしていく。また、前臨床段階での診断に役立つ機能的マーカーも積極的に探索していく。 (次年度の研究費の使用計画) PETの薬剤合成や脳磁図測定に必要な電極等、消耗品類の購入、被験者に対する謝金等。また、難易度が高く複雑な脳磁図のデータ解析を効率的に行うため、海外研究者を招へいしてデータ解析用のソフトウエアも開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外共同研究者の招へい旅費として確保していたが、先方の都合によりキャンセルとなったため。 H26年度改めて招へいする予定。
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