研究課題
本研究の目的は、脳の神経ネットワークやシナプス機能の変化を鋭敏に捉える事のできる脳磁図を用い、PiB-PET によるアミロイドイメージングと組み合わせることによって、アルツハイマー病(AD)の早期診断、特に認知症発症前の軽度認知障害(MCI)の段階や、更には臨床症状がまだない前臨床(preclinical)段階での診断に役立つ機能的バイオマーカーを明らかにしていくことである。今年度の研究では、認知機能正常高齢者において、脳内アミロイド蓄積に伴って神経ネットワークに機能的変化が生じているかどうか、脳磁図を用いて Functional Connectivity (FC)を解析した。PiB-PETでアミロイド陽性と判定された健康高齢者(CN+)13名、及び陰性と判定された (CN-)32名を対象に、5分間の安静時脳磁図を測定し、Default Mode Network内のFC を、Phase locking valueを用いて解析した。その結果、1)Precuneus内に限定して解析した局所FCは、CN+群でCN-群よりも有意に低下しており(p < 0.001)、その程度と脳内アミロイド蓄積との間に負の相関があることが認められた。2)一方、Precuneusから他のDMN領域への領域間FC は、全般的にCN+群でCN-群よりも有意に増大しており(p < 0.001)、脳内アミロイド蓄積とは正の相関が認められた。以上の結果より、脳磁図はアミロイド蓄積に伴うネットワークの機能変化をも高感度に捉えることができる可能性があり、アルツハイマー病発症前の早期の病態把握に有用であると考えられた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 4件)
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