胃癌は慢性炎症により組織構成が変化した胃粘膜に出現してくる。胃上皮幹細胞の候補としてLgr5陽性幹細胞が報告されている。炎症により変化した組織においてもLgr5陽性幹細胞が生理状態と同様に恒常性維持に関与しているのか、また腫瘍組織にも関与しているのか不明である。ヘリコバクター菌を胃に感染させたマウスや自然に胃炎を発症し腫瘍形成に至るマウスを用いて、炎症における組織変化や腫瘍形成におけるLgr5陽性幹細胞の関与をリネージトレーシングの方法を用い検討した。胃上皮幹細胞が、生理的状態、慢性胃炎、胃癌等において、一貫して胃上皮組織構築に寄与していることが明らかとなった。
|