本研究では、アセトアルデヒドが食道扁平上皮のDNA損傷を起こし、DNA修復タンパクであるp53のリン酸化を起こすとともに、細胞老化を引き起こすことを明らかにした。アセトアルデヒド暴露によるDNA損傷の程度は、食道上皮の前がん病変である異型上皮の発生程度と相関することも見いだした。ALDH2タンパクの発現を低下させる(すなわち活性を低下させる)と、DNA損傷が増加することも示した。アセトアルデヒドの長期暴露により、食道扁平上皮の分化過程(角化)は変化し、異型上皮に類似したような基底細胞および傍基底細胞の核の極性のみだれ、空胞化、錯角化を来すことを明らかにした。
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